「スマートフォンはPDAと違い、あくまでも“電話機”です。電話機はネットワークにつながって初めて機能を発揮するものですから、特にユーザーが設定しなくてもネットワークにつなぐことができ、すぐに利用できるのが当然です。逆に、多くのPDAは独立した「装置」として考えられており、通信を含め設定は基本的にすべてユーザーが自分で行わねばなりません。スマートフォンは、すべてあらかじめ各種の設定を済ませた上でお客様にお届けできるように、こだわって作ってあります」(大塚氏)。
ユーザーが電源を入れればすぐに使える。それによって「通信事業者、アプリケーションプロバイダー、コンテンツプロバイダーなど、我々のパートナーがこれにより活躍しやすいように準備してあるのです」(同上)
エンドユーザーへ使いやすい端末を提供することが、コンテンツプロバイダーなど、ネットワークをベースにビジネスを行う人たちにもメリットになり、ひいては通信事業者や端末メーカーにもメリットになるという。アプリケーションプラットホームに参加するすべての企業で協力していくという考え方だ。
日本で普及している高機能の携帯電話とスマートフォンの違いについても聞いてみた。「最近の日本の携帯電話は、我々が考えてきたスマートフォンとかなり近いものになっています。その違いを論じることはもうすでにあまり意味がないかもしれません。現時点の端末の機能の違いを強いて言えば、スマートフォンでは、ブラウザやメールクライアントすら、必要に応じてほかのものに取り替えることができる、という点くらいです」(大塚氏)
日本の高機能携帯電話にも、iアプリやBREWといったプラットフォームがあり、ユーザーはある程度アプリを追加できる。しかし、ブラウザやメールクライアントなどのソフトは端末の基本的な機能とされ、そこはユーザーの自由にはならない。日本の携帯電話で提供されている機能は十分に高機能だが、しかし例えばビジネス用アプリケーションなどを使いたい場合には、ブラウザやメールクライアントの機能も取り込んだアプリケーションが必要になることも多い。OS上で自由に動かせるアプリケーションを作り込める、スマートフォンのプラットフォームは有利だといえるだろう。
今後、スマートフォンはどのように進化していくのだろうか。ノキアは、2つのポイントに注力していくという。
1つがIPベースのテレビ電話、「リアルタイムビデオシェアリング」だ。動画ストリームを回線交換ではなく、パケットとして伝送することが特徴で、W-CDMAなど、3G携帯電話ならではの強みを生かす技術だという。
リアルタイムビデオシェアリングは、従来のテレビ電話と比較して2つの大きな違いがある。接続を切らずに通話の途中でテレビ電話に切り替えたり、逆に通話のみに戻ったりできる。また、手元の携帯電話で、端末内に保存されているビデオファイルを再生して相手に送って見せることもできる。テレビ電話というとこれまではどうしても「お互いの顔を見せ合って話す電話」という印象が強かったが、「自分が見ているものを相手とシェアする」という使い方ができるのが強みだといえる。
もう1つは“マルチラジオ”だという。携帯電話網、無線LAN、BluetoothやRF IDといった近距離通信、そして放送といった、4つの分野の無線技術への対応に力を入れていくとのことだ。
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