2G、3Gの「G」とは何を指す?塩田紳二のモバイル基礎講座 第1回: (2/3 ページ)

» 2005年03月04日 10時28分 公開
[塩田紳二,ITmedia]

そもそも、携帯電話の方式とは?

 携帯電話の方式は、無線部分と交換システム(コアネットワーク)の組み合せで決まる。無線部分は端末装置や基地局を作る場合に重要な仕様であり、交換システムの部分は、基地局とそれらを結ぶ有線のネットワークなど、携帯電話サービスを運営する場合に重要な部分だ。単に端末の方式だけでなく、基地局や、それに接続される交換機や制御関連のシステムも含めて、携帯電話の方式は決められる。

携帯電話の方式は無線部分とコアネットワークの組み合わせで決まる(図版提供:ノキア・ジャパン)

 W-CDMAやCDMA2000というのは、無線部分で使われている技術から来た名称で、コアネットワーク関連の技術から来た名称ではない。携帯電話の場合は無線部分が速度的なネックになるため、ここを高速化しないと、高速な通信ができない。また一般ユーザーに交換機や基地局などの話をしても意味がないため、「新しい」「速い」イメージを作るためにも、カタログなどで無線部分の技術を強調することになる。

 さてIMT-2000で、世界中で利用できる携帯電話の仕様を決めたのは、交換設備や基地局などを共通化させるためだ。これらの開発には多額のお金がかかる上、設備や装置、電話機自体もできるだけ数多く出荷しないと安くならない。そのため“なるべく共通にしましょう”と世界各国で考えたのである。ユーザーにとっては「世界中で携帯電話を利用できるようになる」というメリットが、その裏には「自分たちの方式を広めれば、大儲けできる」という業界の思惑もあったわけだ。

 IMT-2000の“IMT”は“International Mobile Telecommunications”の略であり、“2000”には、西暦2000年の実現を目標にするという意味と、2GHz帯近辺の周波数を使うという意味の両方があった。こうした規格関連の組織については別途解説をする予定なので、ここではとりあえず、世界的な通信関連規格の取りまとめ団体があると理解してほしい。

 ところが実際にIMT-2000を始めてみると、世界各国の通信関連の団体や業界、それぞれの思惑があり、無線部分で5つの規格が、コアネットワークで3つもの規格ができあがった。結局「1つの携帯電話で世界中どこでも」というわけにはいかなくなってしまったのだ。

 1つにはならなかったものの、5つの無線方式と3つのコアネットワーク方式に集約され、これにUSIMを組み合わせることにより、2Gに比べれば、世界規模でのローミングは簡単になった。また5つの無線方式のうち、W-CDMAとCDMA2000は特に有力だ。それぞれ2Gで成功したGSMやcdmaOneという方式の後継であること、また主要な日米欧の通信関連組織が後押ししたことが理由である。

 コアネットワークの方式のうち、1つはGSMで使われている「GSM-MAP」がベースであり、1つは米国のcdmaOneで使われている「IS-41(ANSI-41)」という方式、残りの1つはインターネットで使われているIPベースのものになっている。そのためすでに使われているGSMやcdmaOneの2Gネットワークをベースに、W-CDMAやCDMA2000に対応した無線部分を追加するだけで、簡単に3Gに移行できたという事情もあった。たとえばドコモのFOMAネットワークでは、コアネットワークにはGSM-MAPを用い、その先に従来のATM網を接続している。

IMT-2000は、5つの無線方式と3つのコアネットワーク方式で決められている

いち早く3Gを採用したのは日本

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