ビジネスに利用されるPHSの位置情報PHSと位置情報(前編): (2/2 ページ)

» 2005年02月18日 20時51分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
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位置情報とプライバシーは裏表

 自己位置通知は「自分から位置を知らせる」能動的な行為だが、第三者検索は「人から位置を検索される」受動的な行為だ。検索するものがトラックやパレットならいいが、人間の場合はプライバシーの問題に関わってくる。“自分がどこにいるのかを会社がいつでも検索できる”と思ったら、誰でもいい気持ちはしないだろう。

 総務省ではこの点についての指針を出しており、「電気通信サービスにおけるプライバシー保護に関する研究会 報告書」の第2章第4節には、「加入者の義務として端末所持者の同意を求めるよう約款に規定する」「端末に、任意に位置情報の送出の可否を選択できる機能を有しない場合には、当該サービスを提供しない旨を約款に規定する」とある。

 電話機や会社の取っているログに履歴が残ること、位置を自分が取られていることを社員に説明し、位置を出す出さないの設定が自分でできる機器であることを伝えて、社員の合意を得た上でサービスを開始することが重要になる。ウィルコムや東芝ロケーションインフォでも、導入企業に対して、この点は徹底しているという。

 位置検索をされるのが嫌なときには端末側で拒否できる端末を使うのが一番いいのだが、PHSではそのような機能が付いた端末はまだない。検索されたくない場合は、LI機能をオフにする、電源を切るといった方法を取ることになる。しかし「オンにするのを忘れると必要なときに検索できなくて意味をなさないときがある。実際にはオペレータと社員との間で『○時を過ぎたら検索しない』など、ルールを取り決めている企業がほとんど」(東芝ロケーションインフォ)。

 ウィルコムのソリューション推進部は「導入した企業に聞くと、“位置を検索するシステムを導入した”ということで緊張感が生まれるのが重要なのであって、実際に常に社員を管理している会社はほとんどないようだ。“何かあったら調べられる”というだけで十分効果はある」と話す。

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