ドコモがPASSAGE DUPLEで目指すものモバイルセントレックス最新動向インタビュー(2/2 ページ)

» 2005年02月07日 16時34分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
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 端末が100台以下の環境を想定した製品としては、アイコムが、N900iLに対応した無線LANブロードバンドルータ「SR-5200VoIP2」を発表している(1月27日の記事参照)。実売6万円程度で、1台で18台までのIP電話端末を制御でき、複数台組み合わせて利用が可能。フュージョン・コミュニケーションズのIP電話サービスと組み合わせることで、安価にN900iLを組み込んだ環境を構築できる。

音声の先のサービスで差別化を図る

 内線を無線化しただけでは、PASSAGE DUPLEの前身である「PASSAGE(PHSを利用した事業所コードレスシステム)」サービスとあまり変わらないことになってしまう。PASSAGE DUPLEの普及を進めるために、ドコモはPASSAGE DUPLEをどのようにアピールすべきと考えているのだろう。

 「電話のIP化が大きな流れとしてあるのは事実だが、それとは別に、PASSAGE DUPLEを導入することで“業務の効率化”が図れる端末であるということにしないと、やはり普及は難しい。音声通話の先の機能が今後は大切になってくる」と安田氏は話す。

 音声通話の先とは、グループウェアへのアクセス、スケジュールや社内メールのチェック、プレゼンス、IMといった、N900iL固有の機能を生かした利用法だ。

 ドコモの法人営業本部では、UNIVERSEシステムと650台前後のN900iLを導入しており、同部のあるフロアを中心に4フロアでPASSAGE DUPLEが稼働している。650台という数字は所属する社員数のほぼ9割に当たる。N900iLからイントラネットの電話帳やスケジューラを参照できるようにしているほか、IMやプレゼンス機能も利用している。業務の効率化には有効だが、しかし今後改良すべきと感じる点もいくつかあるという。

 職場で広く使うとなると、多くの人がより無理なく使えるシステムでないと普及しない。たとえばプレゼンス機能は、相手の様子を先に知ることが可能、というメリットの半面、自分から状態を変えないと意味がない。「位置情報と連携したり、通信しているアクセスポイントから人の居場所が分かるようにするなどして、自動通知ができるような方法を考えている」(安田氏)。

 また、携帯メールに慣れていない人には、IMの文章を携帯端末からすべて入力するのは難しい。現在も登録されている文例から選ぶだけで送信できるが、「PCからメッセージを送れるようにするなど、PCとの親和性を高めることは考えている。すぐには実現できないが、たとえばPC用のIMサービスと互換性を持たせるなどもいい方法だろう」。

 宝島社やJFEシステムズなど、導入事例は増えつつあるが、2004年1月時点でPASSAGE DUPLEを導入している会社は、まだ音声通話以外の機能を利用していないという。しかし「すでに(PASSAGE DUPLEを)導入している企業は、自身がシステムインテグレーターであることも多く、新機能をいち早く導入して、自ら試してみようという気持が強い」(安田氏)。音声通話以外の導入事例も今年は出てくるはずということで、PASSAGE DUPLEの真価が問われるのはこれからといえそうだ。


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