専門用語を使いこなそう:頼られる人になる「経理アタマ」の鍛えかた(2/2 ページ)
「専門用語を使わずに分かりやすく説明する」というのは大事なことですが、使う場面と相手によっては専門用語を交えたほうが、話は早く進みます。
専門用語は現場で覚える
では、専門用語はどのようにして覚えていくのがよいのでしょうか。会計や経理の教科書を見て片端から覚えていくという時間のかかる方法はオススメしません。現場で出てきた専門用語を順番に覚えていったほうが効果的です。
現場で出てきた専門用語というのは、実際に経験をした仕事に関する専門用語になります。したがって記憶の定着もよいでしょうし、また次の機会に同じ専門用語に遭遇する機会があるはずです。
せっかく覚えた専門用語からさらに幅を広げるには、会計用語辞典や会計用語集のような本を1冊手元に置いておくとよいでしょう。覚えた専門用語の周辺の言葉をさっと確認すると、語彙が増えていきます。
ただし間違っても、その用語集を片端から読まないようにしましょう。国語辞典や英和辞典を読んで日本語や英語を覚える人はいません。実務で遭遇した専門用語を調べるたびに眺めるという頻度での使いかたでかまいません。
「知ったかぶり」は厳禁
また、専門用語は知ったかぶりをしないようにしましょう。英語圏の人からみたら、勉強したての人の英語はたどたどしいのが分かります。本人も気付かない文法の間違いもあることでしょう。知ったかぶりをするよりは、分からないことは素直に聞いたり調べたりしながら覚えるという姿勢でいいと思います。
いちばんいけないのは、知ったかぶりをして専門用語を間違って使うことです。専門用語を間違って使うと、その人の経理のレベルが疑われ信頼を失います。
意味を間違えて使うことは相手の混乱を招くことにもなりかねませんので注意を要します。
意味を間違えるとは、例えば原価計算の説明をする際に「直接費」「間接費」とすべきところを「固定費」「変動費」と言ってしまうような場合です。意味を間違えると、現場でのコミュニケーションが混乱します。
また、よくあるのが専門用語の誤字です。私がよく見かける誤字は、「試算表」を「資産表」、「損金算入」を「損金参入」と書いてしまったり――というものです。資産という言葉も参入という言葉も存在しているので、間違って変換されても誤字と気付きにくいのだと思います。専門用語の誤字にはとくに注意が必要です。不安に思ったら、先程紹介した用語辞典や用語集で確認するようにしましょう。
専門用語を使いこなせると、仕事ができる人のように思われます。そして、あいづちを打つタイミングすら分からなかった専門家の人との会話が楽しくなってきます。自分の英語が英語圏の人に通じたのと同じような感覚です。少しずつ実践をして、専門用語という新しい言語を身につけていきましょう。
ただし、専門用語を使いこなせるようになっても安心しないでください。いつでも専門用語を使ってよいわけではありません。
日本語しか話せない人に英語で話しかけないように、専門家ではない相手には、専門用語を使わないで説明をするように心掛けましょう。コミュニケーションは、相手に合わせることが大事です。
著者プロフィール:佐藤昭一
税理士。税理士事務所勤務、リサイクルショップ経営等を経て2006年佐藤税理士事務所を設立。ITを駆使した生産性向上支援、経理業務効率化等支援が得意。2010年にはAll Aboutプロファイルで人気No.1税理士に。
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