プチスキルなら、プロスキルの「3つの問題」を解決できる:一生食える「強み」のつくり方(2/3 ページ)
前回、「プロスキル」には3つの問題があることを紹介しました。今回は、それらの問題点を解決できる「プチスキル」について考えます。
解決策2:プチスキルならスキルの「突然死」にも対応しやすい
プロスキルは、たとえ10年がんばって習得しても「突然死」してしまうと、次に別のスキルを習得するまでに再度10年を要します。この間どうやって食いつなげばいいのでしょうか?
例えば、世界の二酸化炭素排出量を削減したいと原子力工学を大学院で学び、10年間原子力の産業でがんばり、34歳働き盛り、さあこれからというときに、産業自体が不安定になり大幅な給与カットをされてしまったらどうすればいいでしょうか?
また心臓外科手術の腕を長年かけて磨いたのに、前回のメディカル・ツーリズムの例のように、インド人医師に10分の1の値段で同じ手術を行われて仕事が回って来なくなったら、どうすればいいのでしょうか?
プチスキルにはそんな心配はありません。プチスキルは、たとえ世の中の環境が変化しても、耐性が強いのが特徴です。例えば、私は大学で学んだ原子力工学の知識や財務の知識、英語力などがあるので、仮に原子力の知識が使い物にならなくても、当面は「財務×英語」で食いつなげます。その間に失ったスキルを置き換えるために2年半がんばれば、新たにかけ算するスキルを習得でき、もとの3つのスキルがある状態に戻れます。
一度スキルが突然死すると、10年かかるプロスキルに対して、プチスキルなら2年半で復帰でき、復帰中の間も手持ちの他のスキルで食いつなぐことが可能なのです。
解決策3:プチスキルなら組み合わせの仕方しだいで「レア人材」になれる
先述したように、プチスキルでもグローバル人材に求められる必要最低限の英語力が習得できます。すなわち、英検1級を取得していて会話もちゃんとできるレベル。そんな人は、あなたのまわりにどれくらいいるでしょうか? 自分の今いる環境にもよりますが、普通は100人に1人くらいではないでしょうか。小学校の2〜3クラスに1人いるイメージです。
ですから、プチスキルのかけ算をうまくやれば、ぐっとレア度が上がります。運がよければ、4つのプチスキルを習得してかけ算すれば、100分の1×100分の1×100分の1×100分の1=1億人に1人のレア人材になることもできるのです。
もちろん、プレゼンスキル×英語スキルのようなかけ算は、どちらもコミュニケーション能力なので、このような場合は重複があり単純に100分の1×100分の1=1万人に1人とはなりません。コミュニケーション能力が高い人には、どちらのスキルも得意な人が多く、自然と分母が小さくなるからです。
一方で、エンジニアは英語も苦手、人前で話すのも苦手な方が多いのです。ですから、「技術×英語×プレゼン力」は相当な差別化を生むスキルのかけ算です(財務知識があればなおよし)。原子力工学の学位を持つ人が商社に就職し、海外にインフラビジネスとして原子力発電所を売りに行くために英語を流ちょうにあやつり、プレゼンがしっかりできるとなると、レア度は相当高そうではないでしょうか? プチスキルとはいえ、よく考えられたかけ算ならば、プロスキルに十分対抗できるレア度を発揮できるのです。
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