「気が利かない部下がいて困る」 それって実は自分のせいかも?そのひとことを言う前に(1/2 ページ)

仕事を頼むといっても、1人に頼む場合と複数人に頼む場合とでは、少し勝手が異なります。自身がリーダーとなり、チーム全員に同じような成果を出してもらいたいときに、どんな点に気を付ければいいのでしょうか。いいチームを作るコツを考えます。

» 2015年03月26日 09時00分 公開
[岩淺こまきBusiness Media 誠]

連載「そのひとことを言う前に」

 職場で感じるストレスの原因は、うまくコミュニケーションがとれないことによるものが多いようです。本連載では、伝え方や接し方、聴き方に至るまで職場でよくあるエピソードをもとに、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションや考え方のヒントをご紹介します。言葉を受ける側の立場や気持ちを理解し、自分が発する言葉について見直してみてはいかがでしょう。


 もうすぐ4月になります。これからリーダーやマネージャーになり、自分のチームを持つ人は「どうチームを仕切っていけばいいんだろう」と不安に思っている人もいると思います。今回はチームをうまく運営し、いいチームを作るための方法について考えてみます。

 リーダーやマネージャーの主な仕事に、「同僚や部下に仕事を振る」というものがあります。仕事の多くは一人ではできないもの。チームメンバーと協力して目標を達成するのがマネージャーの基本的な姿勢です。とはいえ、人に仕事を振るというのは、そう簡単な話ではありません。

 これまで「同僚(後輩)に仕事をお願いしたのに、なんか自分が思ったように動いてくれない。気が利かないなぁ……」と思ったことはありませんか。そんな経験がある人は要注意。これから紹介するエピソードを読んでみてください。

5人に部下に頼んだ仕事の成果がバラバラに……

 先日OJT講習会を受講していたAさんが、納得できない理由で先輩から怒られた話をしてくれました。とあるメーカーに入社した彼は、同期5人と展示会の手伝いをすることになり、来場者の名刺をもらう仕事をお願いされたと言います。

先輩 :ウチのブースに来た人の名刺を集めてほしいんだ。名刺とノベルティを交換する感じね。

Aさん:なるほど、分かりました。

先輩 :これがノベルティ。ブースの前を通った人たちに声かけて、名刺をもらったら、このノベルティを差し上げて。なるべく多くの名刺を集めたいから、みんな張り切ってやって!

Aさん:はい!(よし、たくさんの名刺を集めればいいんだな、がんばろう)

 このノベルティはとても人気が高く、こちらから声をかけなくてもどんどん人が集まってきたといいます。次々と名刺をもらってさばくAさんたち。そんな彼らに先ほどの先輩が怒った顔で近づいてきました。ブースの裏に連れられ「なにやってんだ!」と怒られたそうです。

先輩: 一体何をやってるんだよ。どうしてそんなやたらめったらノベルティを配ってるんだ。数には限りがあるんだぞ。

Aさん: え、名刺を集めるためですけど……。

先輩: 今ちらっと見たけど、ノベルティ目当てでもらう人を変えて何回も来てる人もいたぞ。それだと渡すだけムダじゃないか。

Aさん: 申し訳ありません。気を付けます(なるべく多く名刺を集めたいと言ってたのに……)。

photo 先輩から怒られたもののAさんは内心納得がいっていなかったそう。その理由は……。

 そして同期5人にノベルティの配り方を確認すると、方法がバラバラでした。「自分に名刺を出した人には全員配る」が2人、「何となく見たことがある人には配らない」が1人、「他の同期にノベルティをもらっているのを見た人には配らない」が2人という状態です。

 結局、最も怒られたのはAさんを含む「自分に名刺を出した人には全員配布」した人でした。Aさんは、確かに“ノベルティ目当ての人がいる”という考えは抜けていたと反省しつつも、「なるべく多くの名刺を集めたい」と言われていたことに対し、納得できないということで長い間この出来事を忘れられなかったと言います。

 さて、なぜ同期の5人は皆バラバラの行動をとってしまったのでしょうか。先輩の依頼には、重要な要素が欠けていました。ここに、複数人に仕事を振るときの“原則”が隠れているのです。

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