「分相応」を捨てる捨てる「習慣」(1/2 ページ)

「自分には荷が重過ぎる」――過去に決めた自分の限界が、何年も同じ水準のままの人がいます。あなたのその判断は、本当に正しいですか?

» 2015年03月06日 05時00分 公開
[午堂登紀雄,Business Media 誠]

連載:捨てる「習慣」について

本連載は、午堂登紀雄著、書籍『1つずつ自分を変えていく 捨てるべき40の「悪い」習慣』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。

「忙しい」という口グセ、完璧主義、自社基準の評価――あなたには「捨てたほうがいいかも」と思う習慣はいくつあるでしょうか?

時間と経験が積み重なると、自分でも気付かないうちに行動や思考が習慣化していきます。自分が本当は何を欲しがっていて、何がやりたいのかが分からないまま、情報や他人の意見に流されがちになります。

本書では、人生に「悪い影響」をもたらす40の習慣について、「捨て方」と「捨てて得られるもの」を具体的に伝えます。捨てたいと思うものを1つずつ捨てていくことで、あなたの人生は少しずつ前向きな方向に変わります。


 「分相応」という考え方は、成長を阻害する要因になることがあります。なぜなら自分の判断で勝手に自分の限界を決め、挑戦を避けることにつながるからです。

 「自分の実力では、荷が重過ぎます」
 「私にはその規模が分相応です」

 あなたのその判断は本当に正しいのでしょうか。昔に定めた自分の限界を、何年も経った今でも同じ水準を引きずっているということはないでしょうか。

 今回は、「そうはいっても、なかなか……」という控えめな人に、自分の限界の捨て方、考え方を紹介します。

1. 弱点を捨てる

 人間、自信のないことや弱点だと感じていることがあるとどうしても尻込みします。しかし、自分が自分で弱点だと思っていることは、必ず強みに変えることができます。

 例えば、私は言葉数が少なく自社の社員からも「社長は何を考えているのか分からない」と反発を受けることがあり、これは自分の弱点だと思っていました。

 しかしあるとき顧客から、「ペラペラしゃべる人は信用できない。午堂さんは無駄なことを言わないし要点を得ているので信用できる」と言われました。「そんなものかな」とぼんやり思っていたところ、ある女流プロ棋士のインタビュー記事を目にしてハッとしました。

 その女性棋士は自分のことを「かわいい」と思っていて、芸能界に行きたいと思っていたそうです。しかし自分程度のビジュアルなら業界にゴロゴロいて、大して目立つことはできないだろうということは容易に想像できる。

 では、自分の容姿で勝てるところはどこかを考えて、彼女が飛び込んだのが囲碁の世界。そもそも女性自体が少ないため、ただでさえ若い女性は目立つ。少しでも容姿が整っていれば「美しすぎる○○」と言われて人気が出るのだそうです。

 私はそれを読んで、顧客に言われたことが腑(ふ)に落ちました。

 従業員をマネジメントするという立場では弱点になっても、対顧客へのプレゼンには強みになる――つまり、ステージを変えれば短所も長所に変わるということです。

 子どものころは背が高いのが悩みだった女性が、舞台女優を目指したとき、ライバルから抜きん出られる強みに変わった。三流大学出身が欠点だと思っていたけど、「受験勉強のどこでつまづくか分かる」ということで偏差値30以下の子どもの家庭教師として重宝された――そんな例は、数え上げればきりがありません。

 もし「自分が生かされていない」という閉塞感で悩んだら、「自分の欠点を欲してくれる場所はどこか」を探してみましょう。

2. 自分の強みを捨てる

 反対に、自分の強みを捨ててみるという方法もあります。自分が得意としていること、他人よりもうまくできること、自信があることを、いったん捨てるのです。

 自分の強みにしがみついていると、自分の才能が開花する可能性のある他の分野に挑戦することなくこの世を去る、ということになりかねないからです。

 私自身は不動産投資やFXが得意で、長らく投資信託への投資は避けてきました。高コスト構造に加えてレバレッジが効かないし、基本的に景気上昇トレンドという一方向でしか利益を得ることができないからです。

 しかし2013年5月のアベノミクスバブルの崩壊と新興国通貨の暴落を機に、投資信託の積立に挑戦してみることにしました。そして1年後、毎月分配型投信を中心に、年利回り20%以上で運用ができています。

 将来はどうなるか分かりませんが、意外に手堅い運用ができることが分かり、書籍や講演のネタにもなっています。

 自慢したいわけではなく、不動産投資やFXにこだわっていたら獲得できなかったであろう分野のネタが見つかった、ということです。

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