過酷なストレスにさらされるITエンジニアへのストレスケアは?700万人メンタル不調時代に効く処方せん(1/2 ページ)

「納期が絶対」「昼夜問わず業務にあたる」「自分のミスが大きな損害につながりかねないので気が張り詰める」――過酷な業務に当たるスタッフにはどのようなメンタル対策が必要でしょうか?

» 2015年02月12日 10時00分 公開
[神谷学,Business Media 誠]

 社内のITインフラ構築に携わる社内SE、顧客企業の戦略をシステム面から支援するITコンサルタントなど、IT技術の高度化と業務との一体化の度合いに合わせて、システム担当者へのニーズも一層増えています。

 彼らの業務の特徴には以下のような特徴があると思います。「納期が絶対」「ずっとPCに向かって作業する」「クライアント企業に常駐することも多い」「昼夜問わず業務にあたる」「緊急対応での呼び出しが多く常に緊張を強いられる」「自分のミスが大きな損害につながりかねないので気が張り詰める」などなど。

 こうした業務の特性は身体的にも精神的にも強いプレッシャーを与えます。また、それ以外にも専門職特有の悩みとして、常に最新の技術をキャッチアップするために勉強しなくてはならない、年齢が上がってくると技術だけではなくマネジメントなど人によっては不得意なことも経験しなくては昇進が難しいなど、キャリア上の悩みも出てきます。

 こうしたプレッシャーの中でシステム担当者は仕事を進めていくわけなので、当社の調べでも、情報通信業に従事する労働者のストレスは他業種に比べて非常に高いということが分かっています。

 システム担当者の多くは1人で集中して仕事をすることが多く、ときに寝食を忘れて没頭することもあります。1人で仕事をすることは自分のペースで仕事ができるという意味ではよいかもしれませんが、一方で自分の仕事への承認を得られにくい、何か不調が起きた時に気付いてもらいにくいというデメリットがあります

 普段は快活でものごとを健全にとらえることができる人でも、睡眠不足や過労などのストレスにより、自分のネガティブな感情をコントロールできなくなることがあります。ものにあたったり、怒ったりするなど対外的に出てしまうと、対人関係を損なうなど非常に大きいな問題となります。

ネガティブ感情を追い払う3つの「R」

 ネガティブな感情をどうコントロールすればいいでしょうか。まず基本的なことですが、次の「3つのR」を意識して元気を取り戻すことが重要です。

  • 休養、休憩、睡眠(Rest)
  • リラクゼーション(Relaxation)
  • 気晴らし(Recreation)

 オフに仕事をくよくよ持ち出したりしないでちゃんと休息する。自分の気に入ったリラクゼーション法で心身を休める。好きな趣味に取り組むことで心に元気を取り戻すといったことを当たり前に取り組むのです。今ではPCやスマホが貸与されて業務とプライベートの境目があいまいになり、完全なオンオフを設けるのは難しいことかもしれませんが、だからこそ意識してスイッチを切り替えて、すり減らないように気を付けなければなりません。

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 あわせて、ネガティブな感情が生じてきてしまったときの対処法を押さえておく必要があります。怒りなどのよくない感情が生じて、すぐに行動に起こすと失敗を起こしやすいものです。ものを投げつけるとか、顧客との会議でふてくされたりしてしまうなど、感情に任せた行動は自分にとって大変な損となります。

 そこで、感情がグッと持ち上がったら代わりの行動やタイムアウトを使って「いったん立ち止まって」見ましょう。例えば、ゆっくり呼吸する、こぶしを力強く握って緩めるなどの動作を入れてみるなどして気をそらせるのです。

 いざというときに悩みを相談しあったり、遊んだりできるネットワークを職場にも職場外にも作っておくことも重要です。そうした人間関係から受けることができる支援を「ソーシャルサポート」といい、ストレスを和らげるように機能します。

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