顧客の購買履歴や購買行動を分析し、商品やサービスの開発に生かすためには「さまざまな顧客データをどのように管理していくのか?」を考える必要があります。
本連載は、坂本雅志著、書籍『この1冊ですべてわかる CRMの基本』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。
GoogleやAmazonなどの有名企業が一番重視しているのがCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)です。
CRMは「企業と顧客の長期的かつ良好な関係を構築する手法・戦略」ですが、ここ数年でCRMを取り巻く環境は激変しています。
ポイントカードや会員プログラムだけでなく、Amazonのレコメンド機能やGoogleの行動ターゲティング広告、携帯電話会社の割引施策まで、その範囲は多岐にわたります。
直近の動向・トレンドを踏まえ、CRMの必須知識や導入のポイントを解説した1冊です。
顧客データを管理するために必要なこととして、次のようなものが挙げられます。
設置場所といっても、物理的なスペースということではありません。顧客データのボリューム(量)にもよりますが、数千件までのレベルの段階ではエクセルなどの表計算ソフトで十分です。
もちろん、顧客データが大きくなることを前提に、クラウドサービスを利用することも考えられます。
数百万件にのぼる顧客データであれば、自社のシステムで管理したほうがコスト面や独自性の観点などを考慮すると適切です。
基本的には、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「いくらで」「どれだけ」「どのように」購入したかがデータベースの主軸になります。そこに、企業独自の情報項目を加えていきます。
顧客データは名前や住所など、個人を特定できるキーを中心にデータを統合します。多くのケースで会員番号やメールアドレスなどをユニークなキーにしています。
スーパーマーケットやCVSなどでよく目にするPOSレジは、文字どおり、商品の販売情報を記録し在庫管理やマーケティングの素材データとして活用することがメインです。しかし、この購買データを顧客データとひもづけることができれば顧客分析の深化につながるのです。
大手のスーパーマーケットでも、購買データと顧客データがひもづけられているケースは多くないといわれています。まだまだ開拓の余地がある領域です。
CVSでは、「Ponta」や「Tポイント」などの外部運営事業者が展開している共通ポイントサービスを導入しているケースが見られます。実際の顧客行動を分析し、新商品の開発などに生かしています。
ログインによる会員専用ページなどでのアクセスログを分析し、過去の購買履歴や購買傾向を分析することでおすすめ商品などを提案する「レコメンドエンジン」が、インターネットデータと顧客データの統合で成功している事例です。
Amazonがその代表格でしょう。インターネットの世界の優位性が現われています。
顧客の購買行動がどんどんインターネット化しているので、実店舗中心の企業でも注力して取り組んでいくべき領域です。
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