ときには「孤独な時間」を持つ「働く意味」がわからない君へ

人間は孤独な時間において、はじめて自分自身と深く向き合うことができるのです。

» 2015年02月09日 05時00分 公開
[諸富祥彦,Business Media 誠]

連載:「働く意味」がわからない君へ について

本連載は、諸富祥彦著、書籍『「働く意味」がわからない君へ ビクトール・フランクルが教えてくれる大切なこと 』(日本実業出版社)から一部抜粋・編集しています。

 「希望の職業に就けていない」
 「今の部署ではやる気が起きない」
 「上司が評価してくれない」
 「失敗するのが怖くて動けない」

本書は、このようなビジネスパーソンが抱きがちな48の悩みに、ビクトール・フランクルの言葉と彼が創始したロゴセラピーの考え方をもとに答えます。

ロゴセラピーとは、フロイトの「精神分析」、アドラーの「個人心理学」に続く3つめの潮流として位置付けられている“生きる意味”の発見を援助する心理療法です。

「あなたには、あなたにしかできない使命がある」。『夜と霧』の著者であり、人生の意味を見つめ続けたフランクルが贈る運命のメッセージです。

日々の仕事に「意味」を見い出し、「使命感」を感じて取り組むためのヒントが詰まった一冊です。


1人ぼっちで仕事をしているように感じます。上司からアドバイスをもらえなかったり、提案に賛同してくれる仲間がいなかったりするとつらいです。

 私たちはとかく、1人では心細くなります。同じ考えを持ち一緒に行動してくれる仲間がいれば、大きな安心を手にすることができるでしょう。

 しかしながら、人間は孤独な時間を持つことが大事だ、とフランクルは考えます。なぜなら、孤独な時間においてはじめて人間は自分自身と深く向き合うことができるからです。

人間は孤独でなければならない。そうしてはじめて自分は独りではないし、また独りではなかったということを知ることができる。孤独でなければならない、そうしてはじめて独語が対話であり、以前からそうであったことに気付くことができる。
 (『苦悩と存在論』)

 フランクルがここで、人間は「独りではない」と言うとき、それは神との関係が暗黙のうちにそこにあることを意味しています。

(写真と本文は関係ありません)

 人間がたった1人になり、自分を見つめ自分と対話するとき、実はその孤独な自分自身との対話は、神との対話でもあったということに気づく、と言うのです。

 相手が「神」であると特定する必要はありません。自分自身と深く対話するとき、実はその対話は同時に「自分を越えた何ものかとの対話」でもあったことに思い至るのです。

 これと同じようなことがビジネスパーソンにもあるのではないでしょうか。自分はたった1人だ、誰ともつながることができていない、1人ぼっちでこの厳しい仕事を抱え込んでいると感じることがあるでしょう。

 しかし、そう思いながらつらい状況に立ち向かっているときにこそ、人は、ふとした瞬間に、実は多くの人たちに支えられていることに気付くことがあるはずです。

 人間は、自分を支えてくれている人が周りに存在していることを忘れがちな生き物です。自分が支えられていることを忘れてしまっているから、「私はなんて孤独なんだ」という心のつぶやきを抱え続けることになるのです。

「働く意味」が分からない君へ

孤独な時間を持つ必要があります。孤独において、人は自分自身に目覚めることができるからです。また、孤独なしには、他者との真の出会いも不可能です。


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