タスクが重なって“モヤモヤ”するのを解消する方法ビジネスチームハック

「気になっていること」を可視化することに慣れてくると、そのパターンが見えてくるものです。筆者の場合、プロジェクトの立ち上がり期を上手に管理すればモヤモヤが解消できることに気付きました。

» 2015年01月30日 10時30分 公開
[佐々木正悟,Business Media 誠]

 GTD(Getting Things Done、ナレッジワーカーのための仕事術)では、「気になることを洗い出す」という最初の作業が有名です。ある程度タスクの整理がついてくると、「気になること」や「モヤモヤすること」には法則があるのではないかと思うようになります。

 筆者の場合、何となくモヤモヤが始まるのは、新しい企画がスタートし、同時に片付かない企画の残務整理がいくつかあって、しかも近々新しい企画を立ち上げるので、それについて「考えておきたい」ということが増えてきた場合です。もう少し具体的にいえば、新刊の企画の依頼を受け、間もなく脱稿しそうな本の原稿を抱えていて、同時期に引っ越しの準備を考えないといけないといったケースです。

 つまり、新旧のプロジェクトが入れ替わるときなのです。この中には「日ごろから繰り返している経費精算」とか、「毎週定期的に繰り返している連載のような仕事(この原稿もそうですが)」は入ってきません。つまり、すっかり定着しているレギュラーの仕事はモヤモヤを引き起こさないわけです。

 だから新旧のプロジェクトの出入りと、その中でも特に注意すべきタスクをきちんと整理しておけば、あまり気になることが増えたりモヤモヤしたりせずに済むのではないか――そこで、そういう企画だけを切り出して「Asana」というツールで整理するようにしてみました。

タスクシュート式プロジェクト管理法

 タスクシュートで有名なのは「1分以上かかるタスクの時間を全部見積もって、その総和を出す」ことですが、どうもこの点が有名になりすぎ、違和感をもたれ過ぎているような気がします。

 タスクシュートにはもう1つ、ごく常識的ながら意外と重視されていない大事なルールがあります。「過去のログ」「現在のタスク」「未来のタスク」が一目で分かるように整理され一元化されているという点です。

 そして、このことはプロジェクトについても堅守するべきだと思うのです。下の図は、筆者のAsanaのごく一部を見やすく整理したものですが、ちょっと使い方に工夫をしています。本来「タスク」を管理するところでプロジェクトを管理しているのです(筆者はAsanaのプロジェクト管理機能をほとんど使っていません)。

Asana

 Asanaの面白くて重要な機能として、タスクの後ろにコロン「:」をつけると、それが小見出しになるというものがあります。「タスク」を「タスク:」と書けば、それはタスクではなく小見出しになるのです。これを応用してプロジェクトを「未来」「現在」「過去」に分けています。ドロップアンドドラッグで簡単に移動できます。

 こうして整理してみると、今までどんなプロジェクトをやって来たのか、今どんなプロジェクトを抱えているのか、そしてこれからどんなプロジェクトを抱えることになるのかが一目で分かります。タスクシュートの原則と同じです。とてもスッキリし、モヤモヤしなくなるのです。

「軌道に乗るまで」を管理する

 筆者がここで管理しているプロジェクトは「軌道に乗るまで」です。書籍執筆であれば、「毎日目次案に沿って書く」という繰り返し作業になったら、軌道に乗れたと判断できるので、Asanaでは「過去」のプロジェクトに移してしまいます。

 プロジェクトが軌道に乗れば、それはリピートタスクの様相を呈することがほとんどです。基本的な手順はほとんど覚えてしまっていますし、たとえ思い出せなくても手順書があります。こうなればプロジェクトとして管理する必要はありません。「経費精算」や「連載執筆」はいまやリピートタスクです。

 リピートタスクになれば、あとはデイリーリストに従って淡々と片付けていくだけです。そういうものをわざわざプロジェクト管理ツールで管理する必要もないわけですし、もちろんAsanaに乗せておく必要もありません。

筆者:佐々木正悟

 心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。

著書に『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?』『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』『クラウド時代のタスク管理の技術』などがある。

ブログ「ライフハック心理学」主宰。

TwitterID:@nokiba

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