何度トライしてもスピーチがうまくいかない、という人も少なくありませんが、そんなときはスピーチを行う前の準備作業を見直してみましょう。準備に時間をかけるほど、スピーチに対する自信が生まれるのです。
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本記事は企業実務のコンテンツ「表現のプロが教えるスピーチの兵法」から一部抜粋・編集して掲載しています。
私のスピーチコンサルティングを受けてくださっている経営者の人(仮にAさんとします)が、先日、講演を行いました。講演のテーマは、自分の人生を通してビジネス成功の秘けつを語るというものでした。聞き手はおよそ500人で、時間は90分。
その講演のために2時間のスピーチトレーニングを行ってから本番のスピーチに臨んだところ、「感動した」という声をたくさんいただいた、という成功報告をしてくださいました。
なぜAさんの講演は、聞き手にそれほどの感動を与えることができたのでしょうか。それは、「スピーチのための準備が完璧だったから」と私は分析しています。では、どんな準備をしたのか紹介しましょう。
最初に、Aさんが持っているネタ――講演で話すための材料を大量に書き出しました。これは準備段階ですから、メモ書きでもPCへの入力でもかまいません。
とくに、今回のテーマは「自分の人生を通してビジネス成功の秘けつを語る」という壮大なものでしたので、この段階では一代記を書けるほどの膨大な量のネタが出てきました。そのなかから、人前で話せるネタや講演の内容に添ったネタなどを取捨選択。これらを整理してノートにまとめていきました。いわば、自分のネタ帳をつくるのです。このネタ帳こそが、スピーチをする際の貴重な財産となります。
余談ですが、リーダーの人からスピーチについてよく伺う悩みが「『ちょっと一言挨拶をお願いします』と突然頼まれることが多くて困る」というものです。こうした突然のスピーチ依頼でも、前もってネタ帳をつくっておくとあわてずに対処することができます。
また、ネタ帳を聞き手の対象別に分けておくとさらに実用的です。社内の人たちに向けてスピーチする場合、社外の取引先でスピーチする場合、社会活動の場でスピーチする場合など、ケースごとに用意しておくのです。
しばらくはネタ帳そのものを持ち歩くことになるかもしれませんが、場数を踏むと頭のなかにネタが刻み込まれてきます。そうなればノートを持ち歩く必要もなくなります。
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