さまざまな会社を生まれ変わらせてきたトヨタの「カイゼン」。この、“ムダの発見と改善を徹底的にやる”ということを日々の仕事に応用することで、時間管理がうまくなります。
この連載は書籍『書くだけで人生がうまくいく嫌なことノート』(アスコム)から抜粋、再編集したものです。
最近、「嫌なこと」はありませんか? 誰でも生きていれば、大なり小なり何かしらの「嫌なこと」にぶつかります。
・上司からのむちゃ振り
・料理が出てくるのが遅すぎるレストラン
・自分のミスを一切認めない先輩
・約束をドタキャンされた……
実は、「嫌なこと」には、あなたの人生を幸せにしてくれるヒントがたくさん詰まっているのです。
某有名企業は「嫌なこと」をビジネスに活用し、歴代の有名経営者は「嫌なこと」を経営に取り入れて成功してきました。
人生も同じ。より良い人生を送りたいなら、「嫌なこと」を活用しない手はありません。あなたも、手軽に「嫌なことノート」とともに、“人生革命”始めませんか?
嫌だなあ、不便だなあ、時間がかかるなあと思っていることを解消するだけで、仕事の効率は上がります。そうしたことを常に考え、実践しているのがトヨタの「カイゼン」という文化です。
トヨタのカイゼンの文化は「人間の知恵は無限である」という考えを基本とし、決して現状に満足しないことで常に成長を続けることです。徹底的にムダをなくし、仕事の効率を上げることを日々考え続けているのがトヨタです。
「忙しくなるとすぐに汚くなるデスク」
「いつまでも結論が出ない打ち合わせ」
「毎回名刺の束から探してしまう取引先の連絡先」
「商談時間より長い移動時間」
「整理されずに、ただ集められただけの資料」
「誤字脱字だらけの報告書」
「いつもの場所に戻されていない、みんなで共有しているツール」
「ランダムに並べられたファイルが画面を覆い尽くしているパソコン」
「短縮化できるのにしようとしないルーティンワーク」
ムダの発見――。これが、嫌だなあ、不便だなあ、時間がかかるなあといった「嫌なこと」に注目するということです。
自分でも「嫌なこと」だと気付いているのに、そのままにしていることが誰でもけっこうあるものです。それはトヨタ流に言うと、仕事の効率を妨げる「ムダ」になります。そして、そんなムダなことの解決策を考え、実行するのが「カイゼン」です。
トヨタでは改善案を考えるとき、本当の原因にたどり着くために「なぜ」を5回以上繰り返します。事実を客観的にとらえるためには、それくらい考えなければ、人間はついつい自分に都合がいいように考えてしまうからだと言います。
さらにムダの発見と改善を、その日のうちに「やり仕舞い」することを基本としています。今日のことは今日片付ける。ムダを残すと翌日の仕事に影響するということです。
カイゼンはこれで終わりではありません。「できた」は「次の課題ができた」。つまりカイゼンして満足するのではなく、さらにムダを探しなさいということです。
カイゼンの文化が世界のトヨタを築いてきました。なんとなく息が詰まるようにも思えますが、これも習慣です。習慣になってしまえば、はたから見るほどたいへんなことではないようです。
ムダをなくして上手に時間を活用できるということは、トヨタの人たちは自分のために自由に使える時間を持っているということにもなります。
同じ仕事なら早くすませて、勉強したり、趣味や家族のために時間を使う。そうすることで、いまよりもっと充実した人生を送ることができるはずです。
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