みんなと同じじゃつまらない 十人十色の発想力のヒントBiz.ID Weekly Top10

ちまたにあふれる「発想術」系のビジネス書。技術も大切ですが、誰にも真似できない「自分だけ」のアイデアを出す秘けつをデジタルハリウッド大学主催のセミナーで学んできました。

» 2014年11月29日 08時00分 公開
[渡辺まりか,Business Media 誠]

 いよいよ師走が迫ってまいりました! 11月最後の週末は誠 Biz.IDのWeekly Top10ランクイン記事を読んでのんびり過ごしてみるのはいかがでしょうか。

 この1週間で最も読まれたのは「マッキンゼーの『できる上司』の3つのポイント」でした。この3つの特徴は、部下の能力を最大限に引き出し、発揮させるのに重要なもの。“チームの力を最大化させること”が上司の役割だと思えば納得です。そのために、何をすべきかも解説しているので要チェックです。

 2位と5位には「基本中の基本、年末調整の書き方を理解しよう」「年末調整って何を調整しているの?」がランクイン。年末調整が近づいているこの時期、気になって調べた人が多かったようです。「なぜ年末調整をする必要があるのか」「何を調整しているのか」「調整することのメリットは?」という問いに対する解説もあるのでオススメです。

 「疲れる姿勢を“イスが”直す? オフィスチェアの進化が止まらない」も、よく読まれました。オフィスワーカーにとって、腰痛や肩こりは深刻な問題。腰痛を防ぐには、正しい姿勢を維持すればいいのですが、これがなかなか難しい……。今どきのイスはなんと、疲れづらい姿勢になるようサポートする機能が搭載されているというから驚きです。これからオフィスチェアがどのように進化するのか楽しみですね。


 書店に行ってビジネス系の書棚をのぞいてみると「企画力アップ」や「出てくるアイデア」「発想力」などに関連した書籍がところ狭しと並んでいます。

 会議で何かしらの「提案」をしなければならない立場の人にとっては、いいアイデアが出せるかどうかは死活問題。それが会社全体にとっても重要であるのはいうまでもありません。

 ほかとは違った切り口のアイデアは、どうやったら出てくるのでしょうか。そのヒントを得られたのが、東京・御茶ノ水で開催された「『知的生産の技術とセンス』出版記念セミナー」でした。

 これは、『知的生産の技術とセンス』(堀正岳、まつもとあつし著/マイナビ新書)の著者2人とデータセクション会長・橋本大也氏、ピースオブケイク代表取締役加藤貞顕CEOの4人をパネリストに迎えたトークセッション。ちなみに同著の一部は誠 Biz.IDで紹介しています。

 今のようにWebが発達していなかった時代は、情報を探すために書店や図書館に足を運ぶ必要がありましたよね。でも今ではほとんど誰でもWebを通じて情報を探せます。情報を発信する側のハードルも、紙の書籍が主流だった時代に比べて下がっています。

 問題は、「何を取り入れ」「どのように感じ」「何を出していく」のか。

スライド 何を感じているか、という個人のセンスが問われる

 特に、「誰もが同じものをインプットできるようになった現代では、この“どのように感じるか”――つまり、人それぞれで異なる“センス”が大切です」と堀氏は話します。

 例えば、TwitterやFacebookなどで広く拡散され、シェアされる情報の中には名言などを集めて機械的に配信するプログラムの「bot(ボット)」と呼ばれるものがあります。インプットされたもの、アウトプットされたものは同じでも、発信しているのはただの機械。それにインスパイアされた人たちがその情報を拡散して、いわゆる「波」が来ることもある、と橋本氏。

スライド 「ボットが話題作りをしていていいのだろうか?」という問題提起も

 もし、わたしたちがマス化されたものだけを取り入れて、ほかの人と同じ情報を流すだけならボットと変わりがなくなってしまいます。では、どうすれば自分のセンスを磨き、人とは違ったものの考え方や発想ができるようになるのでしょうか。

 1つは自分の好みに合った情報やコンテンツを探して取り入れ、自分独自のセンスを伸ばすことです。「好みは人それぞれだから、コンテンツも細分化されてしかるべき。みんなが同じものをインプットしていた時代は終わったのです」と加藤氏。cakes(ケイクス)やnote(ノート)といった、ファンとつながりつつ自分の創作物(コンテンツ)を販売できる仕組みはそのような考えから生まれたそうです。

 もちろん、一般的な情報もなければただの「変人」になってしまいますから、書籍や新聞からのインプットも必要です。しかし、個人のセンスを伸ばすには、人と違う、自分の好みに合ったコンテンツを探す努力を惜しんではならない、とのこと。今なら図書館に足を運んでその膨大な書庫から探し出さなくても、Webの海から簡単に探せます。note、Twitter、Facebookなどで好みのコンテンツを見つけてフォローするほかにも、自分に合ったコンテンツを提供しているWebサイトが更新されたら自動的に情報を取得できるような「RSS」という仕組みを利用することもできます。

 その“好み”は必ずしもビジネス向きではないかもしれませんが、たとえインプットするものが同じであっても、人と違うセンスは人と違うアイデアを生み出すもの。10人中9人が「そんなの需要がないでしょう」という意見だったのに大ヒットしたキングジムの「ポメラ」のようなアイデアが出てくるかもしれません。

 もちろん、「普段からアウトプットする努力と勇気も忘れずに」と堀氏。編集部内で変人扱いされがちなワタクシですが、「勇気を持って恐れずにアウトプットし続けよう」と思わせてくれたイベントでした。

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