物事を伝えるとき、感情的な表現が入り込んでしまうと相手からの信用を失うことになりかねません。正確な事実を伝えるよう意識しましょう。
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本記事は企業実務のコンテンツ「表現のプロが教えるスピーチの兵法」から一部抜粋・編集して掲載しています。
前回は、事実のみを話す重要性をお伝えしました。つい無意識に口に出しているご自身の「ぼかしの言葉」と「評価の言葉」にお気付きになりましたか?
こうした言葉の使用をなくしていくためには、まず自覚することが大事です。口に出す言葉を耳から入った音としてとらえるだけではなく、文字として認識できるまで表現をマネジメントしていきましょう。
さて、今回は事実のみを話すためのテクニックをご紹介します。それはズバリ次の3つです。
順番に見ていきましょう。
「1. 数字・固有名詞を示す」とは、ビジネスパーソンの皆さんには言わずもがなの方法といえますが、ワンランク上の話し方にするためには注意点があります。改めて確認していきましょう。
まず、前回の記事でお伝えしたとおり、「101人」の場合に「ぼかしの言葉」を入れて「『約』100人」としたり、「評価の言葉」を入れて「100人『もの』顧客」などと言わないようにご注意ください。
とはいえ、話す内容によってはプライバシーや守秘義務との兼ね合いもありますから、可能な範囲内で具体的に話します。
さらに、ここからがポイントです。可能な範囲内で具体的に話したうえで、どうしても言えない内容がある場合は、そのこともきちんと伝えましょう。
例えば、人名・会社名が言えないときは、「守秘義務契約をしておりますため、具体的なお名前は挙げられませんが」と一言添えます。「言い忘れではなく、あえて固有名詞を言わないのだ」という立場を表現するのです。
聞き手は、「この人は口が堅いし、取引先との契約をきちんと守る人だ」という印象を相手から感じます。
「2. 情報源を明らかにする」とは、事実であることをより強調する方法です。
話に重みをつくるものは事実です。事実があるからこそ、あなたの話は説得力を生み、信頼を勝ち取ることができます。
しかし、あなたが話しているその事実は本当に事実でしょうか? 裏付けをとりましたか? 証拠がないのに事実と思い込んで話していませんか?
「雑誌に書いてあった」「テレビで放送していた」「誰かが言っていた」という二次情報をそのまま事実として話すのは軽率な印象を与えます。そこで、どうしても二次情報を使いたいときに便利なフレーズがあります。「〜によりますと」です。
例えば、「何かの雑誌に書いてあったんだけど」ではなく「『企業実務』に書いてあった記事によりますと」です。
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