クレジットカード決済で読み取り端末とレジが一体化していない場合、同じ金額の二度打ちが発生し、手間と時間がかかってしまいます。なぜお店は、手間を軽減できる「シームレス化」に踏み切らないのでしょうか?
先日、買い物の支払いにクレジット決済を利用しました。現金での支払いより早く済むと思ったからなのですが、実際は意外と手間がかかり、かえって「遅いなぁ」という印象を受けました。
遅く感じた理由は、レジとクレジット決済の端末が分かれており、金額を二度打ち込んだり承認のボタンを押したりと、作業が二度手間になっていたからだと思います。
「シームレスな仕組みなら、きっと時短にもつながるしミスも減るだろうに」とその瞬間考えました。
ITの世界で「シームレス」と言うと次のような意味になります。
ユーザが複数のサービスを違和感なく統合して利用できること。「seamless」は英語で「継ぎ目のない」という意味で、転じて複数のサービスの間にあるハードルを低くし、ユーザはあたかも同じサービスを利用しているかのように複数のサービスを利用することができる、という意味を持っている。(IT用語辞典より引用)
複雑なものをシンプルにする意味もある言葉ですが、ではなぜ、先ほどのレジはシームレス化ができていなかったのでしょうか?
まず「シームレス化を検討したか」という問題があります。検討すらしてなければ仕方のないことです。
既存のレジと後から追加したクレジットカード決済端末があれば、とりあえず「クレジットカード決済対応」と銘打てるわけですから、顧客のニーズには対応できます。二度打ちの手間、打ち間違えのリスクなどには目をつぶり、万が一のことがあればその場で対応すればOKという感覚で、もしかしたら導入してしまったのかもしれません。
「検討したが、実施できなかった」という可能性も考えられます。このパターンは意外と多そうです。「費用対効果が見込めない」という理由が主なものでしょう。
前述の通り、多少のロスはその都度リカバーすればよいと考えている場合、追加のシステム開発費が“割に合わない”という判断になってもおかしくありません。
ただ、利用期間や影響範囲を考慮して、いつか対応すべきだと判断できる場合には、目先の費用に惑わされず、システム改修のプランを練るべきでしょう。もし変更を検討する場合は、たとえその時には採用されずとも、問題や課題をしっかりと把握して、いざ導入となったときにすんなり実施できるよう資料として残しておくことをオススメします。
「システム上、修正や改修では対応しきれない」というケースもあります。つまり、直すくらいならシステムを一から作り変えるか、リプレースするしかないという場合です。
稼働中の仕組みを変えるのは業務が停止するリスクが伴いますし、リプレース作業には膨大な費用がかかるでしょう。頑張れば実現できるかもしれませんが、予算オーバーや失敗のリスクもあるので、あえて勧めることはしません。
何とか業務が回っているのなら、経営者としては変化させる必要を感じないことでしょう。
シームレス、という考え方は業務の効率化という視点もありますが、利用者の視点で考えることも大切です。「いつまでもそのままではいられない」という問題意識や危機感があるのであれば、きちんと計画を立て、段階的にでも、よりシンプルな仕組みにするよう目指してみましょう。
※この記事は、誠ブログのなぜその仕組は「シームレス」にならないのかより転載、編集しています。
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