デスクトップ環境の仮想化により、新しい働き方を提案するシトリックスが、Google PCことChromebookに最適化した「Citrix Receiver for Chrome」の提供を開始。低価格な端末と使いやすくなったリモートアプリが強力なタッグを組んだ。
2014年4月にIT管理者を悩ませたWindows XPのサポート終了と、それにともなう新OSへの乗り換え。ずいぶん早くからマイクロソフトがシステム移行に向けたアナウンスをしていたにも関わらず、実際の移行作業がサポート終了直前までかかってしまった企業も多い。
金銭的な理由などさまざまな要因はあったが、「新OSでは、今使っている業務アプリケーションが使えなくなってしまう」という課題も大きかった。次にIT管理者を悩ませるであろう大きな波は、2015年7月14日(米国時間)に寿命を迎えるWindows Server 2003の移行だ。今度はサーバOSのリプレイスであり、クライアントOSよりも大変だ。
だが、技術の進歩とともに解決への選択肢は増えている。例えば、後継製品へとアップデートするのではなく、ハードウェアやOSの製品ライフサイクルに依存度が低いクラウドサービスを活用するのもいいだろう。とはいえ、社内の重要データを外部サービスに預けることに抵抗があるのであれば、仮想化技術を検討すべきかもしれない。
シトリックス・システムズ・ジャパンは22日、「Citrix Receiver for Chrome」を発表した。これは「Google Chrome OS」専用のソフトウエアで、シトリックスのアプリケーション仮想化ソリューション「Citrix XenApp」やデスクトップ仮想化ソリューション「XenDesktop」の標準機能として提供する。
Citrix Receiverは、PCやスマホ、タブレットなどのスマートデバイスにインストールすることで、仮想化されたデスクトップやアプリケーションをどのようなデバイスからでも利用できるようにするもの。Windows XP用アプリケーションを使い続けることも可能だ。
すでに、さまざまなWebブラウザで利用できる「Citrix Receiver for HTML5」を提供しているシトリックスが、あえてChrome OS専用のCitrix Receiverをリリースした狙いとは何か?
それは、Chrome OSを搭載したノートPC「Chromebook」の企業導入が進む可能性だ。すでに、日本国内でもデルやHP、Acerなどが主に法人や教育市場向けに約4万円程度で販売しているが、Windows搭載PCに比べて価格面で優位であるだけでなく、起動が早い、アンチウイルスなどのセキュリティ対策機能が組み込まれている、法人ユーザー向けの一元管理機能が用意されているといった面でメリットがある。
Citrix Receiver for Chromeを使えば、Chromebook上でWindowsアプリケーションを仮想的に利用する際に、使い慣れたWindowsスタイルのキーボードショートカットがそのまま使えるようになるという。
また、ローカル環境あるいはリモート環境といった操作環境の違いを意識させることなくクリップボードが使えるようになるほか、仮想環境からローカルプリンターへの出力を「Googleクラウドプリント」経由で実行できるという。ただし、期待されていた「Google Drive」との統合は今回見送られている。
「管理者が求めるセキュリティリスクの低減と、ユーザーが求める快適とは相反するものがあるが、われわれはどちらをも満足させるものを提供できているという自負がある」(シトリックス・システムズ・ジャパンの竹内裕治氏)
プレス向けに実施されたデモでは、ChromebookだけでなくWindowsやMac、iOS端末、シンクライアントといったさまざまなデバイスからXenDesktopを利用してサーバ内の仮想デスクトップにアクセスする様子を披露。非力なクライアント端末上であっても、まるでパワフルなCPUを搭載した最新モデル上で動かしているかのようにスムーズに動く3DCGが印象的だった。
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