「国の借金1000兆円」「2050年には65歳以上が4割」。数字で語られるニュースは分かったような気になりがちですが、具体的なイメージはしにくいもの。図にまとめ直すことで分かりやすくなります。
私たちは毎日、何気なくテレビやオンラインのニュースを見ています。「円安になり日本の経常赤字が続く……」「国の借金が1000兆円……」と聞けば、その中身をしっかり吟味する間もなく、「ふ〜ん、大変なんだあ」とざっくりした不安だけを抱いて、また次のニュースを目にするわけです。
断片的なニュースは、人々の心を不安にさせるだけで、根本的な背景の理解まではフォローしてくれません。しかし、そんな不安にさせるだけのニュースも「見える化」することでスッキリし、事の問題点が理解できるものです。
例えば、会社の財務状況を把握するための「バランスシート(BS)」を使って国の借金を見るとどうでしょう? BSは資産と負債、自己資本のそれこそ「バランス」がまる分かりになる大変便利な図解です。
BSにしてみると日本政府としては自己資本を負債が上回る「債務超過」の状態であることが分かります。債務超過は財務的には抜き差しならない危ない状態。ですが、借金の貸し主は個人(国民)であるところがミソ。つまり、個人資産1500兆円は日本政府の債務超過の穴埋めに使われていることが分かります。
国としての純資産はプラスとなるため、外国から見た国債残高(政府としての借金)は思ったほどインパクトがないという考え方もできるでしょう。本来なら円の信頼もゆらぎ、ハイパー金利になってもおかしくないのに、相変わらずの低金利が続いているのは、日本の中では均衡がとれている(諸外国には迷惑がかからない)という証なのではないでしょうか?
最近、大手予備校の閉鎖や縮小がニュースを賑わせています。原因は「少子高齢化」だそうですが、一体どの程度の少子高齢化になるのか実感できない人も多いでしょう。ちなみに筆者は今48歳ですが、私が84歳を迎える2050年には、65歳以上が4割を占め、人口は2500万人以上減る見通しだそうです。
こうしたニュースは何度も聞いているのでことさら驚かないのですが、自分なりに情報を整理して図にまとめてみると、やはり大きな違和感を覚えるに違いありません。ここでは日本の人口比を「10人家族」に例えてみました。するとどうでしょう?
2050年の10人家族では、未来を支える小さい子供は1人だけとなり、家族を支える大黒柱も1人だけ。あとは全員、支えられる老人……という構成になるのです。これは違和感ありますよね?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.