「クリエイタータイプ」と「ノンクリエイタータイプ」困っている人のための企画術(1/3 ページ)

私が知る限り、広告のクリエイターには大きく2つのタイプがあります。「クリエイタータイプ」と「ノンクリエイタータイプ」です。今回は持論ながら、双方の違いについて考えてみます。

» 2014年09月02日 11時00分 公開
[福里真一,Business Media 誠]

連載:困っている人のための企画術

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 この連載は書籍『困っている人のためのアイデアとプレゼンの本』(日本実業出版社)から抜粋、再編集したものです。

すごいアイデアを思いついて自信満々で発表したのにスルーされてしまった……。こういうケースは少なくありません。アイデアが支持され印象に残るかどうかは、内容の善し悪しに加え、段取り、流れやタイミング、そしてプレゼンのしかたなど、さまざまな要素に左右されます。

本書は、BOSS「宇宙人ジョーンズ」やジョージア「明日があるさ」などのヒットCMを生み出した著者が、アイデア出しとプレゼンの方法で困っている人のために書いた本です。

今でこそ多くの人気CMに携わっている著者ですが、「人とのコミュニケーションをとるのが苦手」と公言するように、実は著者自身がアイディアやプレゼンで「困っている」人でした。そんな著者が伝えるのは、

 ・「プレゼンがうまそう」という感じを出さない
 ・人は、自分にできることしか、できない
 ・説得しないで説得する

など、ダメな人、苦手な人、困っている人でも、自分なりのやり方を見つけられます。数々のほろ苦い経験をもとに、そのままま役立つ「アイデアの出し方」と「伝え方」を紹介します。


その商品は人生とどうかかわるか?

 今回は、私がどうやって企画しているか、具体的に書いてみます。

 まず、企画に使う道具は、A4の白いコピー用紙と、ボールペンと修正液です。で、紙にボールペンで、思いついたことを書き、間違ったり直したいときは修正液で消す、というふうに進めていくわけですが……。みなさんが知りたいのは、そういうことじゃないですよね。

 そんなに普段、意識的に企画しているわけではないのですが、あえていうと、私が企画をはじめるときには、その広告する商品と人の人生とがどう関係するか、というところからスタートすることが多いかもしれません。

 実際に、白い紙の左側に「商品名」を書き、右側に「人生」と書いて、その2つを線で結びながら、それがどう関係していくかボーっと考えていく――、という作業をすることもあります。

「商品と人生」のメモ

 どんな商品も、ある理由があって生まれてくる。わざわざ開発、製造されて、発売されているわけですから、すべての商品には存在理由があるわけです。

 それは、人の人生とどうかかわるかを考えることで分かってくる。その商品があることで、人の人生にはどういうプラスがあるのか。その商品がないことで、人の人生にはどういうマイナスがあるのか。その商品は、どんな人の人生を変え、どんな人の人生を変えないのか――。

 こういうふうに書くと、何だか偉そうにすごいことを言っているように見えるかもしれませんが、これって、ものすごく普通のことを言っているんですね。

 基本の基本といいますか、普通、広告ってそう考えていくだろうな、ということをいっているにすぎない。たぶん、すでにプロのCMプランナーの人たちは、いまのところを読んで、「こいつ、何、あたりまえのこと言ってんだ」と思っていると思います。でも、本当にそうやっているんですからしかたありません。

 とにかく、私の企画法は、数多いCMプランナーの中でも、ガチガチの保守、超・オーソドックスなタイプだと思います。

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