「毎日同じことの繰り返し――」自分の仕事をそんなふうに思っていませんか? どんな仕事でもストーリーを持ては、イキイキと働けるようになります。
本連載は、心理学博士・榎本博明氏著、日本実業出版社刊『やる気がいつの間にかわいてくるたった1つの方法』から編集転載しています。
「日曜の夜は憂鬱(ゆううつ)になる」「自分に合った仕事に巡り会えればきっと仕事を楽しめるのに」――。そう考えている人たちに向け、「自分に向いている仕事さがし」ではなく自分の「仕事づくり」のコツとして仕事を意味づける“ストーリー”をキーワードに解説しています。
そのコツを習得すれば、転職することなく、今の仕事に対して自然にやる気がわいてきて、仕事を楽しめるようになるといいます。
どうせ働くのなら、楽しみながら働くコツを身につけてみるのはいかがですか。
何の職業に就いているかに関係なく、働き方のストーリーをもつ人は、イキイキと自分の仕事に取り組むことができる。
「来客したお客さまがほしいという商品をただ売るだけ。毎日がその繰り返し。これでいいんだろうかと、何か物足りない思いでモヤモヤしたものがありました。そんなあるとき、たまたまテレビで、自分の売る商品についてうんちくを語りながらお客さまと和やかに話している店員の特集を見たんです。『あっ、これだ!』と思いました」
そう語るのは、紅茶を扱う店で店頭販売員をしている20代の男性である。そのことがきっかけとなり、
「せっかく来てくださったお客さまには、商品だけでなく、お土産話もお渡ししよう」
と、心に決めたという。商品の紅茶について勉強し始めると、これがまた奥深い。そんな歴史があったのかと、これまで自分も知らなかったことがつぎつぎに出てきて、紅茶やその周辺のことについて勉強するのが楽しくてたまらなくなった。
来店したお客さまにも、紅茶の歴史や精製方法などのお土産話ができるようになった。以前は、ただ商品とお金の交換の場に過ぎなかった販売のやりとりが、今ではとても楽しい充実の時間になっている。
「自分のうんちく話を聞きながら、お客さまが『へぇー』と感嘆しつつ紅茶を手にとってくださったとき、その商品がキラキラ輝いて見えるんです。その瞬間のために、一生懸命に商品知識に磨きをかけていく。それが充実につながっているんだと思います」
代金と引き替えに商品をお客さまに渡すだけでなく、その商品にまつわるお土産話も渡してあげよう。そのために商品知識を深めるための勉強をしていこう。このようなストーリーをもつことで、ルーチン化していた仕事が「深み」と「やりがい」のある仕事へと変わったのだ。
この男性のストーリーは、どんな仕事にも応用可能だろう。
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