離職率25%超で困った! サイボウズを変えたワークスタイル変革テレワークの今(1/3 ページ)

バリバリ働きたい人には裁量労働制、家庭を大事にしたい人には短縮勤務制、育児や介護をしながら働く人にはテレワークを。従業員はライフステージに合わせた働き方を選べるべきだ。

» 2014年08月12日 08時30分 公開
[宮田健Business Media 誠]

 サイボウズといえば、国内外に多くの利用者がいる国産グループウエアメーカーだ。創業3年目の2000年ごろには約30人だった従業員も2014年3月末時点で489人に増え、その4割が女性だ。

 今や3.8%という低い離職率で知られる同社だが、かつては25%超という高い離職率に悩まされていた。なぜ今、サイボウズはここまで“人が定着する”会社になったのか――。同社社長室フェローの野水克也氏に、5年間で離職率を5分の1に減らしたワークスタイル変革のツボを聞いた。

サイボウズ人事制度の変遷

 同社のビジョンは、グループウエアの活用を通じて社内のチームワークを向上させること。そんな会社が、4人に1人が辞めていく状況に陥った理由は何だろうか?

 ここで野水氏が示したグラフからは、同社の離職率の変遷が人事制度の変遷とリンクしていることが分かる。従業員数が少なかった創業期(1〜4期)は社員一人ひとりを個別に評価していたが、2000年に入って急激に人員が増加したため成果主義による人事制度を定めた。

離職率の変遷 離職率の変遷(出典:サイボウズ)

 同社が展開するグループウエアは、一般企業向けの「サイボウズ オフィス」と、大企業向けの「サイボウズ ガルーン」の2つに分けられる。事業部もそれぞれに分かれていたが、当時「ガルーン」はまったく売れない状況だった。野水氏は、「同じだけ仕事をしても成果主義ではガルーン事業部の社員がまったく評価されない。そのうち、事業部間で顧客を取り合うようになって社内がギスギスしてしまった」と振り返る。

 そこで6期からは社員の「評価への納得性」を検討し、上司による達成度評価と全事業部長による市場評価、そしてランダムに選ばれた5人の社員からの360度評価を組み合わせる形にした。

 ところが、これもまた社員に不評だった。「各方面からのフィードバックを計算して、『こんな数字がでたよ』と伝えても、本人にとっては何が良かったのか、悪かったのかがまったく分からない。かえって辞める人が増えてしまった」(野水氏)

 そこで同社がたどりついたのが、職種や性別にかかわらず従業員自身に働き方と評価方法を決めてもらう制度だ。仕事の充実を重視する「PS」と「PS2」、私生活を重視する「DS」という名前は、家庭用ゲーム機の名称から。遊びたいゲーム機を選ぶのと同じように、自分がやりたい働き方を選べるようにというネーミングだった。

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