映像や書籍といったコンテンツがオンライン化すると、ユーザーの物理的な所有欲が薄れ、利用ベースのサービスが乱立します。コンテンツそのものから稼ぐことが難しくなったら、どうしますか?
Amazonが電子書籍の読み放題サービスを始める――そんなニュースを読んで「いよいよ来たか〜」と思いました。筆者の電子書籍もその対象になるのでしょうね?
すでに映像や音楽の世界では「見放題」「聴き放題」サービスが普及しています。コンテンツがオンライン化すると、物理的なモノの所有欲は薄れ、利用ベースのサービスが乱立するトレンドにあります。
筆者自身も海外ドラマを見るのはHulu(月額1007円)ですし、子供に映像見せるのはLINE KIDS動画(月額500円、時間制限のある無料領域があります)です。
ユーザーが払う「1000円」をコンテンツ提供者でシェアすれば、それは微々たるものです。ユーザー数がすごい数になったとしても、コンテンツラインアップも増える一方ですから、コンテンツ保有者にとって状況が良くなるわけではないでしょう。
昔、映像のプロデューサーや雑誌・書籍の編集をやっていた筆者としては、膨大な労力を費やして生み出したコンテンツがパーツのように扱われることに複雑な気持ちを持たざるを得ません。
また、前述のとおり、こうしたサービスから得られるロイヤルティ収入は知れてますので、別の稼ぎ方を考えることが求められます。劇場公開やDVD、テレビの放映権、海外への提供など可能な限りの二次利用権を確保しても、ネットで消費されるスタイルがポピュラーになれば、見放題サービスへ出品しているコンテンツ自体からの収入はこれまでのようにいかないからです。
コンテンツ自体からの収入が望めなくなると、興行やマーチャンダイジングなどに展開する必要が出てくるでしょう。コンテンツの閲覧は、プロモーションとファン形成と割り切って、ライブチケットやキャラクターグッズのロイヤルティなどで稼ぐということです。
つまり、電子データをばらまいて、リアルで回収するというビジネスモデルに転換していく必要があるということになります。コンテンツ自体は、リアルビジネスの呼び水ですよ、ということ。
こうしたビジネスモデルの転換は、コンテンツ業界だけではありません。ありとあらゆる業種で同じようなことが起こっています。
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