ワンフレーズでいい。自分に言い聞かせる言葉をもつことが、仕事にも前向きに取り組む力を与えてくれたり、大きな成果につながる力を発揮させてくれたりする。
本連載は、心理学博士・榎本博明氏著、日本実業出版社刊『やる気がいつの間にかわいてくるたった1つの方法』から編集転載しています。
「日曜の夜は憂鬱(ゆううつ)になる」「自分に合った仕事に巡り会えればきっと仕事を楽しめるのに」――。そう考えている人たちに向け、「自分に向いている仕事さがし」ではなく自分の「仕事づくり」のコツとして仕事を意味づける“ストーリー”をキーワードに解説しています。
そのコツを習得すれば、転職することなく、今の仕事に対して自然にやる気がわいてきて、仕事を楽しめるようになるといいます。
どうせ働くのなら、楽しみながら働くコツを身につけてみるのはいかがですか。
いきなり自分のストーリーをもつといっても、それは難しいと思われるかもしれない。その場合は、ほんのちょっとしたフレーズでもかまわない。自分に言い聞かせる言葉をもつことが、きつい仕事にも前向きに取り組む力を与えてくれたり、大きな成果につながる力を発揮させてくれたりする。
宇宙飛行士の山崎直子は、いつも忘れないようにしてきたものがあるという。それは、
「何とかなるさ」
という気持ちだ。宇宙飛行士になるための訓練はとても厳しい。「え、そこまでやるの?」と思うような、身の危険を感じるものまである。そんな時は、「何とかなるさ」と自分に言い聞かせるというのだ。
生きていれば、自分の力や努力だけではどうにもならないことが起こる。山崎は、そんな時いつも、「何とかなるさ」と言って自分を励ましてきた。
「それは、あきらめることではありません。開き直ることでもありません。その状況を冷静に受け入れ、きっとどこかに『道』はある、と信じること。そして、いまの自分にできることを精一杯やることなのです」
(山崎直子著『何とかなるさ! ママは宇宙へ行ってきます』サンマーク出版)
ストーリーというと自分の人生の方向性を示す長めの文章を思い浮かべるかもしれない。だが、「何とかなるさ」という程度の短いフレーズでも、人生を方向づけ、困難な仕事に対しても前向きに取り組めるように駆り立てる力になるのである。
このように成功するのは特別な人ではないか。そんな例を出されても、ふつうの生活をしている自分の参考にはならないと思う読者もいるかもしれないがそんなことはない。
何が成功なのかは、人それぞれだ。どんな形をとるにしても、自分自身納得のいく人生を生きたいという思いは、だれも同じはずだ。働くなら、気持ちよく働きたい。仕事が楽しいと感じられたら何て素晴らしいことか。そんな思いがあるだろう。
たった一言でも人生を方向付けられる。
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