多くの企業が陥る、リーダー不足という“勘違い”時代が求める「少人数チーム」の作りかた(1/2 ページ)

先が読めない今のような時代には“1人で何もかもこなせる”ことより“仲間と協力して物事を進める”ことのほうが重視されます。その方法さえ分かっていれば、チームリーダーの役割を担うことができるのです。

» 2014年05月28日 11時00分 公開
[開米瑞浩,Business Media 誠]
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 前回の記事で、メンバーの数はチームをうまく機能させるための重要な要素であり、昔とは仕事の質が変わり始めている今、チームに最適な人数は「リーダーを除いて5人程度」ということをお話ししました。

 しかし、多人数だったチームを少人数チームにすると、ある問題が起こります。そう、リーダー不足です。10人だったチームを5人にすれば、これまで1人でよかったリーダーが2人必要になるわけです。

 しかし、会社の中にリーダーの役割を担える人が、そう何人もいるのでしょうか。

現場の声1:(大手SI会社技術部門マネジャー)チームリーダーになれる資質がある人は当社で10人に1人ぐらいだと思います。ただ、リーダーの育成を組織的にやろうと思っても、なかなか難しいですね。

 これでは5人1チームを作るのは難しい。しかし「人がいないから仕事がうまくまわらないチームのままでいい」というわけにもいきません。

 ただ、ここでリーダーの役割について改めて考えてみてください。仕事の質が変わり、先が読めない今のような時代には“1人で何もかもこなせる”ことより“仲間と協力して物事を進める”ことのほうが重要であり、その方法さえ分かっていれば、チームリーダーの役割を担えるのではないでしょうか。

 そこで今回は、リーダーが“周囲の力を借りることでチームを成立させる方法”について考えます。この方法でチーム力を高めるためのポイントは「メンバー」「リーダー自身」「メンター」「執務環境」の4つが挙げられます。

Photo チームリーダーの力不足を補うには

こんなメンバーがチームのムードメーカーに

 まずは「メンバー」について。こんなメンバーがいるとチームがうまく回るようです。

現場の声2:(コンサルティング会社経営者)チームの中に、ムードメーカーと、分析能力に長けた人がそれぞれ1人でもいると、チームがうまく機能する可能性がグッと上がります。ムードメーカーは、チームが停滞ムードの時に盛り上げようとしてくれます。また、分析能力の高い人は、チームに起こっている事態を把握したり、課題を整理したりするのが得意なので、新たな手を打つアクションを早めてくれることでしょう。

 現場の声からうかがえるのは、現代のビジネスにおける「チーム」とは、「問題を解決する集団である」ということです。実際に考え、実行するためには内輪もめしている余裕はなく、互いに協力して前向きに進めようという空気が重要です。そして「ムードメーカー」や「分析能力」といった資質がその核として生きることが多いというわけです。これらの能力が、“絶対”というわけではありませんが、参考にすべきでしょう。

チームの異変にいち早く気付くために

 次に、「リーダー自身」についてです。「スタッフの力を最大化して、いいチームを作りたい」と願っている人のヒントになるこんな声があります。

現場の声3:(教育評論家 芦屋広太氏)5分程度のちょっとしたコミュニケーションを1日に何度も取るようにしていますね。様子を見ながら声をかけるんです。それがただの雑談で終わることもありますが、ちょっとしたことを教えることもあります。

現場の声4:(同上)1人に任せた仕事がなかなかうまくいかないとき、責任の追及はせずに「じゃあ、みんなでやろう」とメンバーを集めてアイデアを出し合います。いい意見であれば、断片的なものもちょっとずつ取り込んでいきます。「いいね!」は意図的にハッキリと言うようにしてます。

 こうした声は、ほかにも複数の経営者やチームリーダー経験者から聞きました。ここから分かるのは、「マメに声をかけることの重要さ」です。日に何度も短い会話を交わしていると、ちょっとしたネガティブな情報が出てきた場合にも、それがすぐに共有され、対策が打ちやすくなります。

 リーダーとメンバーとの間に心理的な壁があると、例えば「悪い話ほど早く報告しろ」と言われても、部下はなかなか言い出せないものです。部下からすれば「なにかと声をかけてくれるとそのタイミングで言いやすい」というわけです。

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