“素の自分が出てしまうお酒の場“で好印象を持ってもらうにはどうしたらいいのか。ヘッドハンティングされる有能な人の振る舞いに、そのヒントがあった。
ヘッドハンティングを進める過程において、私たちが、直接ターゲットとなる人材とお酒を酌み交わす場は多い。ハンティングの話がきっかけで、お互い意気投合するケースだけではなく、顧客からの依頼で、ターゲットの人間性を見極めるために場を用意することもある。
業界内で評判が良く、仕事で成果を出している人は、まさにヘッドハンティングのターゲット人材である。彼らとお酒を酌み交わすと、「私たちの見極めに間違いはなかった!」という気持ちが強まってくる。私たちは一緒に仕事をしたことがない人をヘッドハンティングするわけだが、一緒に飲むことによって、普段の仕事の様子が垣間見えてくることもある。
ヘッドハンティングされるような人が取る行動は、どこが共通しているのだろうか。これをまねることによって、日常の“会食”の席で相手に好印象を与えることができるのではないかと思い、自分なりに整理してみた。
細かいところを上げるときりがないが、共通している大切な点は、マナーの善し悪しよりも相手への気遣いができていることだ。マナーを気にし過ぎると場を楽しめないこともあるが、たとえ友人との飲み会であっても多少の気遣いをすることで、お酒の場がより楽しいものになる。ビジネスの付き合いでは、良い印象を残したいし、会話の中身よりも態度の方が印象として心に残りやすいので、なおのこと相手を気遣う姿勢は大切になる。
もちろん、会話の中身もおろそかにしていいわけではない。会話をする際には以下の点に注意したい。
お酒が入ると愚痴っぽくなる人がよくいるが、現職の愚痴を聞かされるのは誰しも気持ち良いものではない。「新しい職場に行っても、酒の席で仕事の愚痴を人にこぼすのだろうな……」と感じてしまうからだ。また、店内には誰がいるか分からない。仕事にかかわる固有名詞を、このような場では話すことは避けたい。
ヘッドハントの対象となる人は、話の幅が広い。彼らは世の中に対しての関心が高く、さまざまな情報収集にも余念がないからだ。経済、趣味、家族のことなど、相手に合わせて話を掘り下げることができる。
私が扱う経営層のハンティング案件において、依頼主と候補者との会食は、「ケミストリー(相性)を見る」場として利用されている。経営層のハンティング案件ともなると、スキル的なマッチングよりもお互いの相性のほうが重要視されているようだ。
ここまで書いた行動に基づき、候補者である彼らは自然に「ケミストリーもばっちり。わが社にぜひ必要な人材だ!」と、相手に思わせている。スキルに多少の不安を抱えていても、会食の席でのこのような行動によって、相手に信頼感を与え、採用に至ったケースもあるくらいだ。
なぜ、ヘッドハンティングされる人材の行動は洗練されているのだろうか。
そもそもヘッドハンティングのターゲットは、「いろいろな人の評判」が高く、それが私たちの耳に入ってくるので見つけられる。普段の行動について、周囲からの評判が良ければ仕事もうまくいきやすく、その結果としてヘッドハントの声もかかってくる。つまり、彼らはヘッドハンティングされるために洗練された行動をしているのではなく、普段の行動が洗練されているのだ。
彼らの行動をまねていれば、自然に周囲の評判もあがり、いつの日か、ヘッドハントされることがあるかもしれない。(高橋啓)
※この記事は、誠ブログのヘッドハンターが明かす転職事情ウソ・ホント!?:ヘッドハンティングされた人材に学ぶ"お酒の場での行動"より転載、編集しています。
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