エプソン、月額1万円で複合機もインクも保守もコミコミな「スマートチャージ」仕事耕具

コスト削減でいの一番にやり玉に挙げられるのがプリント関連だ。エプソンがビジネスインクジェット複合機のコストを大幅に削減するオールインワンサービスを8月に開始する。

» 2014年05月14日 07時30分 公開
[岡田大助,Business Media 誠]
スマートチャージ スマートチャージ

 オフィスにないと困るが、できるだけコストを削減したいものといえば、コピー機やプリンター。そこに注目したエプソンが、「導入コストゼロ」「月額1万円」で、ビジネスインクジェット複合機本体のレンタル、インク交換、保守サービスまでをオールインワンにしたプリントサービス「エプソンのスマートチャージ」を8月に開始する。

TCOを2分の1にする「スマートチャージ」とは?

 総務部門などの管理者にとって、印刷コストの削減は最優先課題。コピー機のメンテナンスや消耗品の管理工数の削減も求められる。そのための施策として導入されるのが、いわゆる「ペーパーレス化」だが、すると今度はカラー印刷が禁止されたり、コピー機の台数削減による順番待ちが発生したりといった現場へのしわ寄せが生じる。売り上げアップにつながる営業提案用資料がモノクロ印刷で、お客さんに伝わりにくいともなれば本末転倒だ。

 これらの課題を解決するのが「スマートチャージ」だ。ターゲット層は、月間印刷枚数1000〜5000枚のビジネスユーザー。レンタルするビジネスインクジェットプリンターは、モノクロでもカラーでも1分間に24枚印刷できる高生産性に加え(1枚目の印刷までのウォームアップタイムは7秒)、従来型インクジェットプリンターを大きく上回る30万枚の高耐久性を実現した(月間5000枚の印刷で5年間利用可能)。

 さらに、7万5000枚まで印刷可能な専用設計の大容量顔料インクを搭載(インクの消費期限は5年)。月間2000枚印刷しても3年間はインク交換が不要なうえ、交換費用も保守サービスに含まれている。ちなみに、7万5000枚を同社のレーザープリンター「LP-M5300FZ」で印刷すると、トナー52本、感光体6本が必要だ。同社では、「インク交換の手間だけでなく、輸送コスト、梱包材、カートリッジの廃材によるCO2排出量を95%削減できる」という。

スマートチャージ 奥にあるスマートチャージ用インクセット1式で印刷可能な7万5000枚をレーザープリンターで印刷すると、これだけのゴミが出る

 また、レーザープリンターに比べて低消費電力が期待できるのもインクジェットプリンターの特徴の1つ。消費電力量(TEC値)5.2キロワット時の「LP-M5300FZ」と比べると最大で約88%の大幅カットが見込める。

 ビジネス用途での印刷クオリティの向上も強化ポイントだ。画質をビジネス文書に最適化し、より小さい文字でも繊細に、カラーの発色性の良さを改善した。そのベースとなる技術は新開発の「PrecesionCore(プレシジョンコア)」プリントヘッドで、最小1.5ピコリットル(1兆分の1.5リットル)の真円に近いインク滴を1秒間に最大5万発、直径約20ミクロンのノズル穴から正確に吐出できるという。

 このほか、FAX機能、スキャン機能、利用者管理機能、セキュリティなどビジネス複合機として求められる機能を搭載する。また、Epson Connectにも対応しているので、スマホやタブレットからの印刷にも対応する。

大容量顔料インク大容量顔料インク スマートチャージ専用の大容量顔料インク。コスト面の課題から量販モデルへの展開は予定されていない

コストは同機能のビジネスインクジェットを購入した場合の3分の2に

 料金コースは、モノクロプリントが中心の「スタンダード」と、カラープリントが中心の「フルカラー」の2つを用意。それぞれのプランで、用紙カセット2段(最大給紙枚数831枚)の「ベーシック」と、用紙カセット4段(同1831枚)の「フルセット」という機器構成を選べる。

スマートチャージ ベーシックモデルは最大給紙枚数831枚
スマートチャージ フルセットモデルは最大給紙枚数1831枚

 例えば、「スタンダード」プランで機器構成を「ベーシック」にした「スタンダードB」の場合、月額使用料金は1万円(税抜)でモノクロ2000枚、カラー600枚までの印刷が可能。それ以上を印刷した場合は超過従量料金として1枚当たり、モノクロ1.5円、カラー5.0円が加算される。

 また、「スタンダード」プランに「フルセット」を組み合わせた「スタンダードF」では、月額使用料金1万2000円(税抜)で、モノクロ2400枚、カラー720枚までの印刷が可能。超過従量料金として1枚当たり、モノクロ1.5円、カラー5.0円だ。

 一方、「フルカラー」プランに「ベーシック」を組み合わせる「フルカラーB」では、月額使用料金は1万円(税抜)でカラー1000枚まで、「フルセット」を組み合わせる「フルカラーF」では、月額使用料金1万2000円(税抜)でカラー1200枚まで印刷できる。超過従量料金は1枚当たり5.0円。

 なお、複数台を導入した場合、基本印刷枚数を合算可能。印刷枚数はステータスプリントを出すことで確認できる。

プラン名 スタンダードB フルカラーB スタンダードF フルカラーF
料金コース スタンダード フルカラー スタンダード フルカラー
機器構成 ベーシック フルセット
契約年数 5年(中途解約の場合、基本使用料金×残月数×0.9円の解約違約金が発生)
基本使用料金(月額) 1万円(税抜) 1万2000円(税抜)
基本印刷枚数 モノクロ2000枚、カラー600枚 カラー1000枚 モノクロ2400枚、カラー720枚 カラー1200枚
超過従量料金(/枚) モノクロ1.5円、カラー5.0円 カラー5.0円 モノクロ1.5円、カラー5.0円 カラー5.0円

 月額使用料金1万円のプランで5年間利用した場合の合計額は60万円だ。エプソンによれば、スマートチャージモデルと同程度の機能を持つビジネスインクジェットプリンターを購入して5年間利用した場合のコストは約90万円(インク代、保守費用含む)、また一般的なコピー複合機をリースした場合は、5年間で約138万円(月額リース料金1万円、印刷コスト1万3000円(モノクロ2000枚、カラー600枚を印刷した場合)で計算)。経費削減や管理工数の削減を目指す企業にとって、スマートチャージは検討の余地がありそうだ。

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