確実に伝えたいことほど、簡潔に話をしましょう。話し手は、話すのに一生懸命で時間が経つのを忘れることもありますが、聞き手が集中できる時間はかぎられているからです。
本連載は、金子敦子著、書籍『「で、結局何が言いたいの?」と言われない話し方』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。
「そんなつもりじゃないのに……」
「なんで、分かってくれないの!」
「聞いてないよ、って言われても」
一生懸命話しているのに思った通りに伝わらない、話しているうちに伝えるべきことが分からなくなる……。こう感じたことがある人は少なくないのではないでしょうか。
本書では、「打ち合わせ」や「会議」「プレゼン」など、さまざまな場面におけるコミュニケーションのポイントを紹介。仕事で必要な「本当に使えるコミュニケーション能力」を身につけるコツをやさしくまとめました。
・伝わらないほうがあたりまえ
・表現だけでなく、中身も大事
・打ち合わせのゴールは、「誰が」「いつまでに」「何をするのか」
・プレゼンのゴールは、聞き手の成果につながること
・飲み会は「楽しむのが目的の会議」
「誤解なく、確実に自分の言いたいことを伝える力」が身につく1冊です。
確実に伝えたい話ほど、簡潔にしましょう。
書類が山積みの机の上に置いたものは簡単に行方不明になりますが、片付いた机の上では、ものがなくなりにくいのと同じです。
話し手は、話すのに一生懸命で時間が経つのを忘れることもあります。しかし、聞き手が集中できる時間はかぎられています。
話の時間には、自分と相手の持ち時間がそれぞれあります。情報を共有するための打ち合わせで、相手もいろいろと質問したり話したりしたいことがあるのに、一方的な独演会になれば、その打ち合わせの成果はかんばしくないでしょう。
打ち合わせや会議での基本的な持ち時間は、参加者を頭数で割った分と考えてください。話し手の持ち時間が長い「プレゼン」でも、話し手だけの時間だけでなく、聞き手との質疑応答の時間を取ったほうがよいでしょう。
「せっかく集めた情報だから全部入れたい」と、関連の低い情報を話に盛り込んでしまう人がいます。
関連の低い情報やテーマからそれる情報が入ると、聞き手は話がどこに向かっているのか分からなくなってしまいます。関連した話であっても、細かすぎると聞き手は「そんなことはいいから次にいってよ」と思うでしょう。相手がどのくらいの詳細さを求めているか、そのレベルについても意識しましょう。
話し手はできるだけたくさん伝えたいと思っていても、聞き手はそれほど覚えられないものです。聞き手に「今日の話を聞いて、何を持ち帰ってもらいたいか」を意識しましょう。
短く伝えるには、練習が大切です。まず1分で話す練習をするのがおすすめです。
1分で話せる量を文章にすると、だいたい250字くらいです。1分あれば、メインメッセージと主な根拠を話すことができます。1分は、話す量と時間の感覚をつかむ練習として丁度よい長さです。
時計の秒針が1周する間に、どれだけのことが言えるでしょうか? やってみると意外と長いと感じるか、短いと感じるかは人それぞれでしょう。日ごろから練習をしておくと、とっさの場合にも簡潔に伝えられるようになります。
短く伝えると、聞き手の負担も少なくなる
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