「で、どうしたいの?」と言われないために「で、結局何が言いたいの?」と言われない話し方

成果を問われる場面でのコミュニケーションでは、まず自分自身が話す目的を理解している必要があります。「何についての話」で「現在どうなっていて」「どうしてほしいのか」が明確になると、相手も話の内容を理解しやすくなります。

» 2014年04月10日 11時00分 公開
[金子敦子,Business Media 誠]

集中連載「『で、結局何が言いたいの?』と言われない話し方」について

本連載は、金子敦子著、書籍『「で、結局何が言いたいの?」と言われない話し方』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。

 「そんなつもりじゃないのに……」
 「なんで、分かってくれないの!」
 「聞いてないよ、って言われても」

一生懸命話しているのに思った通りに伝わらない、話しているうちに伝えるべきことが分からなくなる……。こう感じたことがある人は少なくないのではないでしょうか。

本書では、「打ち合わせ」や「会議」「プレゼン」など、さまざまな場面におけるコミュニケーションのポイントを紹介。仕事で必要な「本当に使えるコミュニケーション能力」を身につけるコツをやさしくまとめました。

 ・伝わらないほうがあたりまえ
 ・表現だけでなく、中身も大事
 ・打ち合わせのゴールは、「誰が」「いつまでに」「何をするのか」
 ・プレゼンのゴールは、聞き手の成果につながること
 ・飲み会は「楽しむのが目的の会議」

「誤解なく、確実に自分の言いたいことを伝える力」が身につく1冊です。


 成果を問われる場面でのコミュニケーションでは、まず自分自身が話す目的を理解している必要があります。

 上司に相談するにしても、「困りました」とか「どうしましょう?」では困ります。上司への相談や報告であれば、「○○のプロジェクトについてなのですが、問題が起こる可能性があります。対応についてご相談するお時間はございますか?」というようにです。

 「何についての話」で、「現在どうなっていて」「どうしてほしいのか」が分かると、相手も話の内容を理解しやすくなります。

 お客様との商談でも「どうしましょうか」などと漠然とした入り方ではなく、「○○をご提案したいと思います。理由は●●です、いかがでしょうか?」というように、あなたがどんな話をするのか、相手にどう関わる話なのかをきちんと示しましょう。

 コミュニケーションには、何かしら目的があります。「状況を知らせたい」「助言がほしい」「調整したい」など、本人が話の目的をしっかりと理解していないと、相手がうまく答えることができません。

今回のポイント

自分が「何を求めているか」を明確にしよう


「事実」と「意見」は区別する

 例えば、次の2つの文章は事実でしょうか?

  1. 富士山は日本で最も素晴らしい山である。
  2. 富士山は日本で最も高い山である。

 1つめは判断(意見)です。価値判断が入れば意見になります。2つめが事実です。

 ビジネスで戦略を決めるなどの意思決定に関わるような場面では、「事実」と事実に基づいた妥当な「意見」を述べる力が重要になります。「事実」と「意見」は分けて伝える必要があります。

話の構成の基本スタイルは「主張+根拠」

 話の構成の基本は、「主張(提案)」+「根拠2、3点」というスタイルです。例えば、次のようになります。

【主張】

 「当社は欧州ブランド品を10%値上げすべきです」

【根拠】

 「なぜならば、

(1)円安ユーロ高で仕入値が上がっている

(2)円安ユーロ高による値上げは、顧客の理解が得やすいとみられる

 からです」


 ここで「値上げの提案」について考えてみましょう。「主張」の10%の値上げは、もちろん意見です。根拠(1)は事実ですが、根拠(2)は推論ですから意見の仲間です。ビジネスでは、相手が納得できる妥当な推論なら、根拠として挙げることはよくあります。

 しかし、もしその推論が妥当でなければ、思った通りの成果は得られにくくなります。さらに、無理のある推論を示せば話し手の信用が下がるでしょう。

 また、人から聞いた話や新聞、雑誌、テレビなどによる情報を伝えることもあるでしょう。その際には、「営業部の○○さんから聞いたのですが」「××新聞で読みましたが」など、出所を明らかにします。

今回のポイント

「事実」と「意見」は分けて話そう


(次回は、「話を組み立てる」について)

著者プロフィール:

金子敦子(かねこ・あつこ)

東京大学文学部卒業。英国インペリアル・カレッジ・ビジネススクール(MBA)修了。

アクセンチュア(コンサルタント・マネージャー)勤務、MBA留学を経て、UBS証券株式調査部(アナリスト・ディレクター)として業績予想および投資判断リポートの作成、国内外機関投資家へのプレゼンテーション業務を行う。

その後、武蔵野大学グローバル・コミュニケーション学部(専任講師)においてビジネス・コミュニケーションをはじめ、ビジネス英語、財務諸表分析・企業分析を担当。


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