1日に6時間、椅子に座って仕事をしていると寿命が短くなるという研究結果があります。シリコンバレーのエンジニアを中心に、立って仕事をするための「スタンディングディスク」が流行しています。
ほとんどのビジネスパーソンはデスクに座って仕事をします。ミーティングも会議室の椅子に座って行います。しかし、そのスタイルを根本的に変えると、仕事の効率化を図れ、なおかつ健康にもなるとしたら、どうですか?
「1日に6時間座る人は3時間の人に比べて15年以内に死ぬ確率が40%増加する」――これは米Medical Billing and Coding Onlineが「Sitting is killing you(参照リンク)」というセンセーショナルな記事の中で説明したものです。
今、シリコンバレーのエンジニア(彼らは1日に10時間以上も座って仕事をしていました)の間でブームなのが立って仕事をするためのスタンディングデスクです。エンジニアに限らず、世界に名だたる超多忙ワーカーも愛用しているとか。
歴史をひも解いてみると、18〜19世紀にも富裕層を中心に立ちデスクが流行していたそうです。立ちデスク愛好家としては、英国のウィンストン・チャーチル元首相、作家のアーネスト・ヘミングウェイ、米国のラムズフェルド元国務長官などが知られています。
実際に1年間、スタンディングデスクで仕事を続けてみた日本の編集者は、体重が減り、姿勢がよくなったと自身のブログで伝えています(参照リンク)。
もちろん、立つことがいいからといって1日中立ちっぱなしである必要はありません。立ったり、座ったり、仕事の内容や気分で変えればいいと思います。ただし、立ちと座りで処理すべき仕事の内容は分かれます。
前述のスタンディングデスクを続けた編集者も、立ったときは原稿や企画書を書くなどのアクティブな仕事、座ったときはメールをチェックするなど受け身の仕事と自然と切り替えるようになったということです。立ちの姿勢は、物事に対して積極的になり、アイデアなど創造的な仕事に集中できるのかもしれませんね。
立ち仕事の効能は、デスクワークにとどまりません。会議のスタイルにも「立ち」を入れることによって効率を増すことができます。
筆者が推奨するミーティングは、ホワイトボードの前に全員立って行うもの(参照記事)です。「座ってもできるのではないか?」と思う人もいるかもしれません。しかし、ホワイトボードの前で全員立って、いつでも自分のアイデアを全体図の中に書込んで行くというスタイルが大事なのです。一方的に話を聞くだけでは受け身な会議にしかなりません。自分自身が当事者として問題を解決するんだ、という強い意気込みを維持するためには立ってやったほうがよいのです。
立つことは集中につながります。人間は体のいろんな部位を使っている状態のほうが脳が活性化します。したがって、眠くなりません。筆者の周りには立ったまま寝られる人も数人いますが、エキサイティングな立ち会議で寝られるほどマイペースな人はいないでしょう。
立ってホワイトボードに全員が注目して会議をすることで、無駄話もなく、全員が積極的に発言するようになります。「誰が発言するか」よりも「何をどう解決するか」に集中できます。結果として、短時間で、中身の濃いミーティングが行えます。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
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