5年働き1年休暇を3セット――これぞ「40歳定年制」理想の働き方ICHIROYAのブログ(2/2 ページ)

» 2014年02月28日 11時00分 公開
[和田一郎,Business Media 誠]
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定年前でも1年の長期休暇を定期的に取るという提案

 このTEDの動画を見ていて思いついたのが、「5年働いたら、1年の長期有給休暇が得られる」仕組みだ。TEDでプレゼンをした彼はデザイン会社を経営しており、7年に1度、1年間の完全休暇をとるという。

 一般的な人生では、最初の25年に学んで65歳まで働き、最後の15年を老後として過ごす。この配分を変えようというのが彼の提案だ。老後を15年から10年にして、浮いた5年を現役中に分配したらどうか、というのだ。

 彼によると、その効果は絶大だそうだ。長期休暇を取らずに働き続けているとどうしても仕事が平板になってしまう。これが長期休暇を取ると、その間にさまざまな体験をするので、仕事に戻ったときのアウトプットが格段にレベルアップするそうだ。

 これは、デザイナーでなくても、同じことだと思う。

 大卒で22歳で働き始めるとすると、40歳の定年までには18年ある。その18年を3つのインターバルに分け、5年働いて1年の長期休暇をとる。それを3セット繰り返して、定年を迎えるようにするのだ。人はその間に係長になったり、課長になったりするだろう。

 成長するに従って、今のキャリアに沿ってもっと勉強したいことも出てくるだろうし、自分が本当にやりたいことは別にあるかもしれないと気づくかもしれない。

 しかし、今の企業での働き方では、仕事に追いまくられて、何かをじっくり勉強する時間や新たなことを体験する時間は、ほとんど取れない。しかし、まるまる1年あれば、それが可能になる。

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 どこかの国に行って暮らし、外国語をマスターできるかもしれないし、コーディング(プログラミング)を学んで自分で考えたWebサービスを自らの手で開発し、世に問えるかもしれない。長編小説の執筆にあてたっていいだろう。


 いきなり「40歳で定年だ! それまでに、自分の市場価値を高めろ! 自分が本当に満足のいく生き方を探せ!」――と言われても、「残業で追いまくっておいて、それはないわな」というのが、オフィスワーカーのホンネではないだろうか。

 40歳から新たな人生を生きようというなら、こういうドラスティックな改革をしないと、かけ声だけで終わってしまう気がするのだ。

 これは、夢物語だ。みんながそれを「夢」と思っている間は。

 しかし、80年も人生があるのに、半分の40歳でその豊かさ(金銭的なものではない)が決まってしまい、あとは惰性で生きる人生というのは、悲しすぎる。みんなで真剣に考えて、何かを変えるべき時だと切に思うのだ。

著者プロフィール:和田一郎

アンティーク・リサイクル着物を国内外へ販売する「ICHIROYA」代表。昭和34年生まれ。京都大学水産学科卒業後、大手百貨店に入社。家庭用品、販売促進部など。19年勤めたのち、2001年に自主退職して起業。現在に至る。趣味はブログ執筆。


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