格安SIMで電子書籍を買っても大丈夫? Kindleと楽天Koboで試してみた「格安SIMカード」は仕事に使えるか? 第12回

スマホやタブレットの普及で電子書籍の利用者は増えている。フィーチャーフォンの時代はコミックが多かったが、最近はビジネス書のラインアップも充実している。しかし、データサイズが大きそうな書籍を、格安SIMでダウンロードしても大丈夫なのだろうか。

» 2014年02月26日 10時00分 公開
[小林誠,Business Media 誠]

 月額1000円以下でLTEが使える格安SIMカード「U-mobile*d」(データ通信量が1Gバイトまでなら税抜き680円/月)を使って、さまざまなスマホの機能・サービスを使っていく本企画。今回は電子書籍の購入や読書に挑む。

 利用する電子書籍サービスは、Amazon.co.jpの「Kindle」と「楽天kobo」の2種類。Kindleはすでにインストールしており、楽天koboのみを新たにGoogle Playストアから入手した。データ量は25.63Mバイトと大きいので、なるべくWi-Fi接続時にダウンロードしたほうがよい。

格安SIMで使うなら、なるべく検索をしない

 さて、電子書籍ストアアプリを起動し、まずは本を探す。あらかじめ買う本が決まっていれば、すぐに検索は終わるが、どの本を買うか決まらず、ジャンルなどを絞って、ストア内をしばらく見て回ることもあるだろう。そこでサインイン後に本を30分探し続ける(ビジネスカテゴリの本)という操作を、Kindleと楽天koboで試してみた。通信量については、Xperia Z1の設定画面で確認している。

 結果はKindleが23Mバイト、楽天Koboは53.84Mバイトだった。休日など週に1回程度、電子書籍を購入するならば、Kindleが100Mバイト弱、楽天Koboが200Mバイト程度となる(1カ月に4回で計算)。1Gバイト制限がある状況下では(1Gバイトを超えると月額料金が税抜き1980円になる)、これくらいが限度だ。暇つぶしのように使うには通信量が多すぎる。

 特に楽天koboの場合、縦スクロールを続けることでさまざまな本を探せるので、本を一度に探すのに便利な半面、気付かないうちに通信量が増えやすい。一方、Kindleはページを切り替える動作が多く、わずらわしい面はあるが、意識して通信量を抑えられる。どちらにせよ、格安SIMで電子書籍を探す場合は、キーワードで絞って素早く探すか、Wi-Fiに接続して探すのがいいようだ。

photophoto 楽天koboでは本を探すときに、ずっと下へスクロール(左)。Kindleは1ページずつ本を探していく(右)

購入時の通信量に注意、コミックよりも新書が“オトク”

 では電子書籍を購入してみよう。一言で電子書籍と言ってもさまざまな本があり、データのサイズもそれぞれ異なる。そこでKindleと楽天Koboで3冊ずつ本を購入した。購入した書籍は以下の通りだ。なお、Kindleの場合、購入後のKindleアプリでの同期も含めた通信量となる。

電子書籍のデータサイズ
電子書籍ストア ジャンル データサイズ
Kindle 新書 究極のドラッカー(角川oneテーマ21) 13Mバイト
資格本 ホントにゼロからの簿記3級(ふくしままさゆきの簿記入門シリーズ) 2Mバイト
コミック 3月のライオン 6(ジェッツコミックス) 30Mバイト
楽天Kobo 新書 知らないと損する 池上彰のお金の学校 19Mバイト
雑誌 最強の武器「統計」- 週刊ダイヤモンド第一特集 10Mバイト
コミック 進撃の巨人 1 45Mバイト
photo コミックは300ページくらいあり、そのほとんどが絵と考えると、やはりデータサイズは大きくなる。Wi-Fi接続時に購入したい

 両サービスとも、コミックのデータサイズが大きかった。漫画は絵なのでデータサイズが大きくなるのだろう。一方、Kindle向けの資格本『ホントにゼロからの簿記3級』は、たったの2Mバイトだった。内容は文字ばかりで、データサイズも小さい。格安SIMで読むには最適な本だと言える。

 新書も文字がほとんどではあるが、こちらはページ数が何百ページにもわたる。文字だけでも相当な量になり、データサイズが増してしまうようだ。それでもコミックよりは小さいので、暇つぶしに読むなら、コミックよりもビジネス書のほうが通信量は節約できる。

 楽天Koboで購入した雑誌『最強の武器「統計」- 週刊ダイヤモンド第一特集』は、電子書籍でよくある、雑誌の特集のみを販売するスタイルだが、ページ数が少ないわりにデータサイズが大きい印象を受ける。誌面がカラーで、写真もあるためと考えられる。


photophoto Kindleには電子書籍向けに作成された本も多い。手軽に読めて安く、そして通信量が少なくて済む(左)。雑誌も電子書籍向けにページを絞って売っている。画像が多く通信量はちょっと大きいが、雑誌1冊をまるごとダウンロードするよりも通信量は少ない(右)

 結果を見ると、なるべく電子書籍もWi-Fi接続時に購入したほうがよさそうだ。LTE通信中に購入するなら、文字が多い本を買ったほうがデータ通信量を節約できる。特に最初から電子書籍向けに作られた本は、サクッと読めることを重視しているため、データサイズが小さく、安価な本が多い。

 毎朝読書をする習慣がある、暇つぶしに読書をする、というような人がすぐに読み終わる本を毎回ダウンロードするのは、購入時の通信量が手痛い。そんな人は重厚感のある小説や新書を一冊ダウンロードして、毎回読むほうがデータ通信を節約できる。もちろん、本の検索や購入をPCで行うのも、通信量の節約には効果的だ。ただ、それでもスマホに本をダウンロード(同期)する操作で通信が発生するので注意したい。

 電子書籍サービスを選ぶとき、本のデータサイズが分かるサービスを選ぶのもいい。Kindleと楽天koboはデータサイズが分からず、価格や本の種類で推測するしかなかった。ほかのサービスではサイズが分かる場合もあるので、そちらのほうがより安心ではある。

photophoto 「楽天kobo」はWi-Fi以外の回線で本をダウンロードしようとすると、注意の表示が出る。親切だ(左)。文字ばかりの本はページ数を考えると通信量は少ない。格安SIMを使う読者家に向いているかもしれない(右)

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