私たちは情報をインプットして、理解し、記憶するときには必ず「絵」にしています。今回は「ビジネスモデル」を他人に分かりやすく伝える方法を考えていきましょう。
グローバル化と効率化が望まれるビジネスシーンでは、図解で考え、伝える技術がさらに重要になってきます。私も最近、台湾で商談をした際、どのように協業するかを説明しようところ、なかなか伝わらず……。しかし、ホワイトボードに図を描いたらすんなりと理解してもらえました。図の力は言葉の壁を取り除きます。
ところで、最近はビジネスモデルという言葉をよく耳にします。何やら難しい印象もありますが、要するに「儲ける仕組み」のこと。誰に何の価値を提供して、お金をいただくのかを図にすることです。
世の中で最も基本的なビジネスモデルは「魚屋がサンマを100円で売る」のようなものです。これを図解にすると、
といった形になります。簡単ですね。
ところがこのサンマは、魚屋がとってきたものではありません。漁師がとり、さまざまな流通経路を経て、店頭に並びます。これを図解にすれば、
といった形です。簡単ですね。
流通上のどの過程でいくらのビジネスが生まれているかが、手に取るように分かります。
ちなみに、このサンマを「客」が焼いて食べれば、単なる消費者です。でも、「客」が弁当屋だったらどうでしょう? 弁当屋なら、おかずはサンマだけでは足りません。
野菜やごはんも必要です。そして、それを弁当箱につめて500円にして売るとどうなるでしょうか? 弁当屋である客は200円の儲けを生み出すビジネスモデルを持つことになります。
そして、これをズームアウトして見てみるとどうなるか? こんな感じです。
どうでしょう? こうして見ると、漁師、市場、卸会社、魚屋、実は弁当屋だった「客」、それぞれのビジネスモデルがあり、それらが有機的につながっていることが一望できますよね。
「私」にとってのビジネスモデルは、取引先のビジネスモデルとつながっている。この感覚が大事です。
ビジネスモデルチェーンのどこかに儲けや負担が集中するのはよくありません。継続的なビジネスは、こうした連鎖のプレーヤーがみなハッピーになることが理想です。
ちなみに、漁師が日本人とは限りません。今や漁獲類も輸入に頼っています。鮭はチリやノルウェー、エビならベトナムやタイからの輸入です。サンマもすべて国産ではありません。そうなってくると、地球の裏側で起こったことも、私たちのビジネスを直撃しますね(もちろん、食卓も)。
身近なビジネスモデルを描いていくうちに、それらがグローバルに結合していく。そんな様をイメージしながら図解を描くのは大変楽しいことです。ぜひ、みなさんも身近な商売の形を図にしてみてください。
いつもはゲスト限定の図解思考のワークショップですが、5月にオープンな形で行います。個人の方も参加できますので、ふるってご参加ください。
詳細URL: http://www.nikkei-nbs.com/nbs/seminar/140510EB.html
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
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