「働く」を通じて、人々に笑顔を与えたい――クラウドワークス吉田社長21世紀の新しいワークスタイル(1/2 ページ)

「2014年は企業が個人の力をより活用する年になる。そのときに働く人々が笑顔になれるインフラを作りたい」。2013年に飛躍したクラウドソーシングサービスの1つ、クラウドワークス社長の吉田氏はこのように話す。

» 2014年01月30日 11時45分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]

 2013年に大きな成長を遂げたサービスの1つとして、クラウドソーシングが挙げられるだろう。インターネットの普及、そして終身雇用の崩壊といった「働き方の変化」を背景に利用者は急増している。

 中でも躍進を続けているのが、クラウドワークスである。次々と新たな機能を実装し、自治体や大手企業との業務提携も実現。まさにクラウドソーシングサービスの代表格となっている。そんなクラウドワークスを運営するクラウドワークスの吉田浩一郎社長に、新たな1年に向けた取り組みや動向を聞いた。

クラウドワークストップページ

企業が個人の力を活用する時代へ

――昨年の取り組みと、2014年に向けた抱負を聞かせてください。

クラウドワークス吉田浩一郎社長

 2013年は、大企業が個人の力を活用し始めた年になったと思います。実際にクラウドワークスでも、多くの大企業が個人へ仕事を依頼するようになりました。そういう意味で、2013年は『クラウドソーシング元年』とも言うべき土台となった1年だったと思います。

 近い将来、正社員の比率は50%を切る時代が訪れると予測されています。では、そのような社会にどう対応するのか。すでに海外では当たり前のことですが、企業がインターネットを利用することで、個人を活用していくようになるでしょう。

 実際に当社も昨年には、テレビ東京やベネッセコーポレーションなどと提携事業をスタートしました。これも、クラウドソーシングに大企業が注目していることの表れです。企業以外でも、福島県南相馬市と復興支援に向けた提携も行っています。また、クラウドワークスを利用しているクライアント数は約2万2000社を突破。会員数も11万人を超え、今もなお増え続けています。

 このような背景を受け、2014年は「“働く”を通じて人々に笑顔が与えられる」ような取り組みをしていきたいですね。当社としては、成長期に当たる1年になると思います。

――具体的なアクションプランはありますか?

 現在はアベノミクス効果で景気が良くなっていますが、いつまでも続くものではないでしょう。それまでに、企業を変革していかなくてはならないと思います。2013年は大企業が「クラウドワークスを使ってくれる」だけでしたが、2014年はしっかり中へ入り、組織化に向けた仕組みづくりにも取り組んでいきたいですね。

 そのためのアクションとして年初に開始したのが、よしもとクリエイティブ・エージェンシーとコラボした『クリコン』というクラウドソーシングサービスです。これは若手のクリエイター発掘を目的としており、同社がクリエイターへ仕事を発注。全国9つの劇場で年に1万回以上も行われているお笑いライブで必要なチラシ・ポスターやWeb絡みの制作物、またネーミングやキャチコピーなどを、『クリコン』上の案件として扱います。まさに同社にとって、サービス運営における変革といえるでしょう。

よしもとクリエイティブ・エージェンシーと共同で始めた『クリコン』

――大企業以外については、いかがですか?

 中小企業は、事例が豊富になってきています。例えば高速バスの側面ロゴデザインなど、ちょっと変わった案件も見られますね。また観光協会など、特に地域観光に関わる企業・団体からの依頼は増えています。こうした1つ1つの事例が積み重なり、広がっていくのでしょう。

 また、これからは非IT系企業へもクラウドソーシングを広げていきたい思いがあります。ITには全く関係のないところでも、クラウドワークスを活用することで、例えばモノ作りを全国に発信していけるようになると面白いですね。

“少数精鋭”へのこだわり

――資金調達にも成功され、さらに人員強化などにも取り組んでいくのでしょうか。

 資金調達の成功は、必ずしも事業の成功とイコールではないと思っています。たとえ一気に資金が増えたとしても、事業や組織の成長はそれに比例するのではなく、ある程度の比率でしか成長していきません。そのため、資金調達が出来たからといってそれに伴った大規模な人員強化などは考えていないですね。「資金」「事業」「組織」の成長を、混同してはいけないと思います。

 私は組織で働く人材について、理念に一致した仲間だけに絞り込むことが大切だと考えています。そのため、単純に事業の成長や規模に応じた採用は行いません。1人当たりの負荷は高くなってしまうのですが、少数精鋭です。社員は、ちゃんと受け入れてくれていますよ。

 仕事というものは、日常における多くの時間を過ごします。ですから、リラックスして仲間と過ごすことも大切だと思うんです。そんな仲間たちと一緒だからこそ、事業を成功へ導けるのではないでしょうか。

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