教科書などに出てくるプレゼン成功の原則といえば、「シンプルにせよ」ではないでしょうか。ただ、場合によっては「細かいことを説明」する必要もあります。シンプルさも有効な範囲をわきまえて使うようにしましょう。
文書化能力向上コンサルタントの開米瑞浩です。
私が行っている文書作成技術講座の受講者からは、「書く」ことに関する次のような悩みをよく聞きます。
「スライド1枚にどれだけ情報を入れればいいのでしょうか?」
プレゼンテーションをするときは、PowerPointやKeynoteでスライドを作ってそれを1枚ずつ投影しながら説明することが多いですが、そこでスライド1枚にどれだけ情報を詰めこんでもいいのか? と悩んだ経験のある人も多いことでしょう。
この件に関しては、困ったことにいつどんな時でも通用する「正解」はありません。というのは、一口に「プレゼンテーション」と言ってもその実質は千差万別だからです。
例として、私なりに以下の3つに型を分類してみました。
「問題の解決策を提案して承認をもらう」ためのプレゼンテーション。実務の担当者・責任者から意思決定権者に対して行う場合が多いです。
「問題の解決策を指示して実行させる」ためのプレゼンテーション。教育担当から実務担当者に対して行う場合が多い。「教育担当」は、個別の場面によって「先輩」「リーダー」「指導員」「スーパーバイザー」「コンサルタント」などと呼ばれます。
「問題の解決策を自ら考えるための手がかりを与える」ためのプレゼンテーション。教育研修の場面で多用されるが、そもそも「プレゼン」とは呼ばれないことが多いです。
通常、「プレゼンテーション」というと1つ目の「承認要請型プレゼン」のことを指します。育成型などはそもそもプレゼンと呼ばないことが多いですが、「人を集めて話をする」という点では同じですので、ノウハウにも共通のものがあります。
ではそのノウハウとはどういうものかというと、プレゼンに成功するための原則といえばすぐに出てくるのは「シンプルにせよ」ということではないでしょうか。プレゼンの教科書には必ず出てくる原則です。とにかく内容を絞り込め、文字を減らせ、ということです。
この「シンプルにせよ」原則は、承認要請型プレゼンの場合は無条件に正しいと言ってよいですが、指示型と育成型の場面ではこれが通用しないときがあります。なぜかというと、「承認要請型」と「指示型」「育成型」では、プレゼンの内容を「実行する人間」が違うからです。
承認要請型では、プレゼンの相手には「よし、それで頼む」と承認をもらうだけ、実行するのは自分なので細かいことを説明する必要はありません。自分が分かっていれば問題がないからです。
これに対して、指示型と育成型は「相手にやらせる」ことになります。そのため、実行するのに必要な情報を与えなければならず、その分、細かいことを説明しなければなりません。当然、情報量が多くなりシンプルさは失われます。
これはどうしてもそういうものになるので、「シンプル」という原則も有効な範囲をわきまえて使うようにしましょう。
※この記事は、誠ブログの開米のリアリスト思考室:スライド1枚にどのぐらいの情報量を入れていいか?より転載、編集しています。
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