あなたが仕事に求めるものは? 多様化する“働き方”を考えるRe:Work(2/2 ページ)

» 2014年01月20日 13時50分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]
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働く環境の自由化

 もはやビジネスにおいて、「個人」という存在は弱い立場にはない。もちろん福利厚生や社会保険などをはじめ、企業より厳しい環境であることは否定できない。しかし「仕事をする」ことにおいて、個人が自らの力を生かして働くためのフィールドは、かなり整ってきている。

 「時間と場所にとらわれない働き方」

 先に紹介した書籍『満員電車にサヨナラする方法』の出版イベントの壇上で、秋好氏は何度もこの言葉を述べていた。これこそ、ランサーズが実現させようとしている新しい社会の形なのだろう。

『ワーク・デザイン これからの<働き方の設計図>』

 イベントでは秋好氏のほか、『ワーク・デザイン これからの<働き方の設計図>』の著者である長沼博之氏も登壇。長沼氏もまた、チャットベースで場所の離れた相手と仕事をすることも多く、ランサーズのようなクラウドソーシングサービスについて「働き方や経営論を根本から変えるサービスだ」と関心を寄せていた。

 確かに一部の仕事を除いて、今やインターネット環境さえ整えればどこでも仕事ができる時代となっている。私も自宅やカフェで仕事をするだけでなく、マラソンレース中にメール対応することもしばしば。「その日のうちに寝る」ことを基本にしているので、業務時間はほぼ一般企業と同じサイクルで回っている。それこそ夕方から活動を開始し、夜中に仕事をするようなスタイルも可能だ。

 私はよく、平日に休みを取っている。休みと言ってもスマートフォンでメール対応などは常に行っているが、旅行や買い物なども平日がメイン。空いていてストレスなく楽しい時間を過ごせる。今年から長男が小学生になるので、なかなか平日旅行は難しくなってくるが、それでもできるだけ家族でのイベントは平日寄りにしていきたいと考えている。

 代わりに土日祝日に仕事をすることも多く、年末年始も休暇は設けなかった。一般的に休暇とされるそうした日は企業などからメールや電話が入ることも少なく、集中して仕事に取り組むことができる。特に執筆作業などをするとき、この『休日仕事』はお勧めだ。

 これもまた、秋好氏の言う「時間と場所にとらわれない働き方」の1つだと思っている。しかし工夫次第で誰にでも可能な働き方だ。企業でも社員に在宅勤務を許可するケースも増えているので、フリーランスに限らず、こうした働き方はこれからスタンダード化していくのではないだろうか。

いろいろな仕事がクラウド化していく

 時間や場所を選ばずにできる仕事は、その職種もまた拡大傾向にある。

 例えば私も自身で経営するナレッジ・リンクスにて、ライティングやカメラ撮影、デザインといったお仕事をパートナーのフリーランスワーカーの方々に依頼しています。しかしこれらの職種は一部に過ぎず、むしろ「その仕事なら、確かにどこでもできるよね」といえるようなものばかりだ。他にもインターネットで少し調べてみれば、驚くような仕事までインターネット経由で受発注が行われている。

 この点について、ランサーズの秋好氏はイベントで次のようにコメントしていた。

 「リアルな仕事を増やしていきたい」

 現在ランサーズで取り扱われている仕事は、その多くがIT系の業務。それこそ先に挙げたライティングやデザインなどが中心。しかし秋好氏は、例えばハウスキーピングなど、“リアルな現場での仕事”もクラウド化していきたいという。

 私は2人の子を持つ親だが、「誰か見ていてくれないかな」と困るシーンは少なくない。そんなとき、インターネット上で呼び掛けてベビーシッターを一定の時間のみ頼むことができたら。あるいは突然の来客で、部屋の掃除を1時間だけ手伝ってもらうことができたら――。空いた時間を仕事として生かすことができ、依頼する側にとっても突発的なニーズが満たされるはずだ。

 インターネットは、なにも遠くの人とのコミュニケーションを実現させる手段ではない。最近では近所とのコミュニティーも崩壊し、中には「隣人と面識がない」なんていう人もいるのが現実。リアルな仕事であれば、そうした「ご近所さん」とのコミュニケーションが自然と生まれ、仕事のみならず、人と人との繋がりをより豊かなものにしてくれる可能性も秘めている。

 自らの描く理想のワークスタイルを、自らで選び実現させる。そうなれば、仕事はもっと楽しくなることだろう。現状を「仕方ない」とただ受け入れるだけでなく、「何か変えられるのではないか」と考えることから、その一歩が始まるはずだ。

著者紹介:三河賢文(みかわ・まさふみ)

 1983年岩手県生まれ、宮城県育ち。人材コンサルティング会社、Web関連会社での勤務を経て、2010年6月にナレッジ・リンクスとして独立。「時間の自由」を第一としたワークスタイルを実践中。多くのSOHOやフリーランスワーカーとパートナー関係を持ち、業務機会の提供を行っている。プライベートでは2人の子どもを持ち、マラソンやトライアスロンにも挑戦。ITやビジネス全般を中心とした執筆活動も行う。


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