ECサイトを運営していて一番うれしいのは「売れる」以上に、「任せてもらえた」とき。任せてもらえるのは、お金に換えられない「信用」「信頼」があるからだと思っています。
小さな会社でも「新規性」「話題性」「社会性」の3つがあれば、ブランドを作れる!
著者は自ら動き、学び、実践した結果、ブランド構築に必要なものは、「新規性」「話題性」「社会性」の3つという答えにたどり着きました。本書ではその真意とともに、独自の「マーケティング哲学」、すなわち、
などなど、どの商売にも通じる「売ろうとしなくとも、売れる」法則を公開しています。
この記事は2013年11月14日に発売された日本実業出版社の『「売らない」から売れる! どこにでも売っている商品を「ここにしかない」に変える5つの法則』(寺田元著、単行本)から抜粋、再編集したものです。
ECサイトで安全、安心をお客さんに伝える取り組みの1つとして、タオルに関する、ある秘密をまとめたチラシを商品に同封しています。品質のいいタオルを作るために大事なものは何だと思いますか?
それは「水」です。水がきれいな今治、泉州で作られたタオルをはじめ、日本のタオルの吸水性が高いのは、まさに水が大きく関係しています。硬度が低く不純物の少ない恵まれた良質な水は綿糸生地の白度や発色、やわらかさに大きく関係しています。
タオルを作り上げるには、たくさんの良質な水が必要なのです。このこともお客さんに伝えたいとチラシを作りました。これも安心、安全をお客さんに伝える取り組みの一環です。
「品質のいいタオルを作るためには、天然の良質な水が重要だ」ということも、現場で生産者の方に教えていただきました。「海外産のタオルとの違いは人件費だけなのか? 何で日本産のタオルとそんなに値段が違うのか」と疑問に思っていましたが、答えは「水」にあったわけです。
硬度の低い水、つまり軟水を用いて晒(さら)しを行うと、繊細かつやわらかな風合いや鮮やかな色が表現できるようになるのです。自分がそうと知って「すごい!」と感じたとき、その驚きを知識とともにお客さんにも伝えたいと思いました。
そうしてできたチラシは、工場に何度も通ってチラシの基ととなる写真を何枚も撮ってようやく完成しました。「今なら○割引」や「○個買ったら1個サービス」などというフレーズは一切載っていません。実は、このチラシでもまた、タオルを売ろうとは思っていません。「タオルを届ける喜び、タオルを手にする感動」をチラシに表現しています。
タオルの質が水の違いにある、というのは、普通のお客さんはご存じないでしょう。チラシに「うちのタオルは質がいい」とうたうよりも、タオルに対する私どもの思いが伝わっているはずです。
そした取り組みの結果、182万枚(2013年11月現在)のタオルをお客さんに届けることができたのだと思っています。ただし商売をしていてうれしいのは、「売れる」以上に、「任せてもらえた」ときです。
もちろん商売をやっているので、売れた売れないというのは大事です。私や家族、従業員の生活がかかっていますから、売上や利益については、きちんと見ています。しかしタオルの注文を1ついただくと、1つ任せてもらえた、という感覚でやっています。任せていただけるとしたら、お金に換えられない「信用」「信頼」があるからだと思っています。
屋号にもなっている「タオルはまかせたろ.com」も、文字通り「任せたろ」と思っていただける、お客さんにとって価値のあるお店でありたいという願いを込めています。そのためにも、自分たちが体験した“感動”をお客さんに伝えていきたいと思います。
ついでに言えば、同じ「任せたろ」でも、郵便局のシェアに頼りきっていたときの「任せてもらう」とはまた違う。「任せがい」のある、進化した「任せたろ」なのだと自負しています。
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