適度にサボると生産性は向上する3分LifeHacking

短い休憩や定期的な作業停止は、節度を保っていれば気持ちを自由にしてくれ、元気を「充電」してくれる効果があるそうです。

» 2013年12月03日 14時00分 公開
[Alan Henry(原文/訳:江藤千夏/ガリレオ),ライフハッカー[日本版]]
ライフハッカー[日本版]

 この記事を読んでいるあなた。もしかして今は仕事中で、するべきことの合間にここに来たのではありませんか? そうでないとしても、職場でFacebookやTwitterやブログを読んで、ついつい時間をつぶしていませんか?

 そんなあなたに朗報です。こうしたダラダラは、適度な分量であれば、むしろ生産性の向上につながるのだそうです。ダラダラすることで、脳に「リセット」の機会を与えることになるんだとか。以下に詳しく説明しましょう。

 基本的には、勤務時間のうち20%程度を自由時間にして、脳をリセットするために休憩をとってWebサーフィンをしても良いことにすれば、残りの80%の時間の生産性は、そうしなかった場合よりも上がるのだそうです。仕事のプレッシャーから来る重苦しい気分から解放されて、活力がよみがえるので、ダラダラしたぶんの埋め合わせができるわけです。

 米誌『The Atlantic』の2011年の記事にはこうあります。

 メルボルン大学が行った2009年の研究によると、勤務時間中にYouTubeでパンダのくしゃみ動画を見たりしても、その人は終業時までには、サボった時間の分を埋め合わせるどころか、それ以上の働きをするのだそうです。

 「集中を取り戻すためには、少しの間ボーッとする必要があるのです」と、研究者のBrent Coker博士は、「Ars Technica」のJacqui Chengの取材に対して答えています。

 「短時間で、周囲に迷惑をかけない休憩、例えばインターネットをちょっと見るくらいのことでも、心が休まります。その結果、1日の勤務時間のうち集中できた時間を合計すると、(休憩をはさんだ場合の方が)長くなる場合が多く、結果として生産性も上がります」

 研究の結果、勤務時間のうち20%未満を費やしてインターネット上のふざけたコンテンツを楽しんだ人は、インターネットを見ないよう我慢した人に比べて、9%生産性が高いという結果が出ました。

 ハーバード・ビジネス・スクールの研究(英文)によれば、(適度にサボると)脳がリセットされて1日を乗り越えやすくなるのに加え、インターネットを見たいのを我慢した場合は仕事にマイナスの影響が出るのだそうです。研究チームは、インターネットの誘惑を我慢するのにはそのためのエネルギーが必要で、その結果、別のタスクに向けるべき注意がおろそかになるのだろうと指摘しています。

 2009年のメルボルン大学の研究は、ここ(英文)で詳しく紹介されていますが、その後、学術誌『New Technology, Work, and Employment』2011年10月号に掲載され、こちらで全文を読むことができます(要ログイン、英文)。ハーバード・ビジネス・スクールの2011年の研究はこちらから全文をダウンロード可能です(英文)

サボる側「節度を持つ」、サボらせる側「信頼する」

 どちらの研究で言われていることも、あなたはすでに経験されているのではないでしょうか。とはいえ、実験で裏付けてもらえるのはありがたいことです。要するに、短い休憩や定期的な作業停止は、(節度を保っていれば)気持ちを自由にしてくれ、元気を「充電」してくれるのです。注意力や集中力を取り戻して、仕事に戻ることができます。

 とはいえ、話はそう簡単に行きません。ほとんどの企業では、「従業員が作業を停止すると生産性が損なわれる」と考えています。従業員を機械か何かだと思っているから、動かない時間があると、金銭的なロスが発生するように思ってしまうのでしょう。『The Atlantic』の記事では、インターネットやメールの使いすぎによる失われた利益を試算した複数の調査を紹介しています。

 企業では、従業員が無制限にダラダラすることを恐れているのでしょうが、研究でも20%という上限を守ることが重要だと指摘されていました。そして、たいていの人は、慣れれば自分で時間管理できるようになるので、信頼して任せて大丈夫だと書かれています。そう言ってもらえると、雇われ者の身としてはありがたいですね。

copyright (c) mediagene Inc. All rights reserved.

注目のテーマ