最高の「スローライフ」が仕事を研ぎすます――UZABASE 梅田優祐氏の“自由な生き方”(2/2 ページ)

» 2013年12月03日 11時00分 公開
[CAREER HACK]
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―― 具体的には、どのような生活リズムを心がけているんですか?

梅田氏: 朝はだいたい5時くらいに起き、奥さんと朝食を食べて、電車に乗るのが6時30分くらい。電車の中で仕事を始めます。

 会社だとミーティングやプレゼンに追われて、まとまった時間がとれないので、通勤中の空間はすごく貴重なものになっていますね。

―― 電車内ではどういったことを?

梅田氏: 主に「思考」と「インプット」の時間にしようと決めています。通勤というアクションは、毎日必ずやってくるものですよね。そのため、電車が「思考」や「インプット」を習慣化するためのワークスペースとして機能するようになるんです。

 いま、UZABASEで新規事業を進めているのですが、そのアイデアも電車の中で生まれました。

―― 電車だと、他人が乗ってきたり、乗り換えがあったりと、集中できないイメージもあるのですが?

梅田氏: 逗子駅から電車に乗っているのですが、早い時間だと空いているし、1時間以上は乗り換えもないので快適です。完璧に仕事ができる空間になっていて、かなり集中できますよ。

 簡単なメールなんかは通勤時間中に済ませられるので、出社してすぐ仕事に取りかかれるのも良いですね。

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―― 通勤時間の使い方がポイントになっているんですね。プライベートと仕事のスイッチが上手く切り替えられ、バランスも取れそうだと感じました。

梅田氏: それもあると思います。ゆっくりと時間が流れる葉山での生活、最先端テクノロジーを追求する東京での仕事、「スローライフ」と「ファストライフ」の両方がやってくる。両方とも好きなスタイルなんですけど、相反する二つの生活を行き来すると、右脳と左脳がすごく刺激されるイメージがありますね。

 例えば、すごく優秀な人って、相反するもの、全然違うものを高いレベルで追求して、高次元でバランスを取っていますよね。

―― いい例か分かりませんが、ビートたけしさんが“お笑い”と“映画”の両方をやるように。

梅田氏: そう! すごく近いです。どちらかが中途半端だと、相乗効果は臨めないのですが、両方ともすごく高いレベルでアウトプットされるとバランスがとれて、両方によい影響を与え合っていくんですよ。それで仕事の生産性も向上していく。

―― 本当にいいこと尽くしですね。正直、すごくうらやましいです。

梅田氏: ぜひ葉山に来てください(笑)

 葉山という町そのものも、みんなにオススメしています。鎌倉ほどごみごみしていないし、すごく静かで、ゆっくりとした時間が流れていますよ。

 一軒家をアトリエに改装しているデザイナーさんがいたり、ウクレレのプロ演奏家がいたり。自由な生き方をしている人がたくさんいる。そんな雰囲気も気に入っていますね。

起業とは、究極の自由を手にいれること

―― 自由な生き方をするのは簡単ではないと思いますが、誰しもが憧れる生き方かもしれません。

梅田氏: 確かに私自身も「自由に生きる」ということが人生の大きなテーマになっていると思います。学生時代、時間だけは余っていたから、バックパックひとつで世界を放浪したことがあるんです。どういうルートを辿るか。次にどこへ行くか。何も決めずに、会いたい人がいれば会いに行くし、楽しければ長く滞在して、飽きたら次の場所を目指す。すべて自分で意思決定できて、好きなようにできる、そんな自由な時間が最高に楽しいと気がつきました。そこから、どうすれば自由に生きられるか? と考えるようになったんです。

―― 梅田さんが以前働いていたコンサルファームや投資銀行は、「自由に生きる」とは対極のイメージがありました。

梅田氏: 代替不能なスキルをつけていけばいくほどプロとして仕事が選べるようになって、自由を手にできる。元マッキンゼーの波頭亮さんの本だと思うのですが、こういったような意味合いのことが書かれていて、すごく印象に残っていたんです。だからコンサル時代も「スキルを身につけるための修業だ」「いつか自由を手にいれるんだ」と言い聞かせながら、むちゃくちゃ働きましたね。

 最初に就職したのが、戦略系のコンサルティングファームでまわりにいたのは東大、京大、海外の有名大学出身者ばかり。劣等感もあり、「負けたくない」という一心で、目の前のことをとにかく全力でやり続けていました。毎週木曜は「徹夜の日」と決めてスケジュールを組んでいましたし、自転車通勤できるほど会社の近くに住んでいたし。

―― 最初から“起業”が念頭にあったわけではないんですね?

梅田氏: そうですね。ただ、起業してみて結果的に分かったのは、起業とは究極の自由を手にすることなのかもしれない、ということです。好きな仲間を集め、好きなところにオフィスを構え、好きな時に働ける。そして、自分たちが問題だと思うことに全力で取り組む。もともと起業しようと決めていたわけではなかったのですが、自分の生き方にもすごくフィットしていたんだと思います。

―― なるほど。葉山で暮らすライフスタイルの根底にも、「自由に生きる」という考え方がベースにあるわけですね。

梅田氏: 前職、投資銀行で働いていた時は、「仕事で成功するために、プライベートを犠牲にすべし」これが定説のようになっていたんです。友だちとゴルフをしていた時も、「今すぐ来てほしい」と17番ホールで呼び出されたことも(笑)。死ぬほど働いて、世の中にインパクトを与える仕事をしても、家族を犠牲にしているとしたら、幸せとは言えません。

 多くの人が、自由な生活を無意識のうちに諦めているように思います。でも、自由に働ける環境を自分たちで作ることができれば、仕事と家族、仕事とプライベート、どちらも諦めない生き方を実現できるんじゃないかと思ったんです。

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取材:上田恭平

文:白石勝也

撮影:松尾彰大

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