“失敗できない人”が「商売」を始める時に知っておきたい10のポイントICHIROYAのブログ(1/2 ページ)

家族を抱えて独立に踏み切った、就職先が見つからなくて自分で商売を始めるしかない――。こうした“失敗できない人”が商売を始める場合に知っておくべき10のポイントをまとめた。

» 2013年12月02日 11時00分 公開
[和田一郎,Business Media 誠]

この記事は、ブログ「ICHIROYAのブログ」より転載、編集しています。


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 この記事は、「起業」一般について書いたものではない。

 例えば、Webサービスで一攫千金を狙う若者、独立するとすれば何人もがあとを追うようなカリスマ性のある人を対象に書いてはいない。

 対象は、僕のような普通の人間で、ある程度の期間サラリーマンとして会社に勤めたものの、どうしても事情があって辞めなければならなくなった人、家族を抱えて独立に踏み切り、絶対に失敗できない人。自主退職に応じて辞めてはみたものの就職先が見つからない、自分で商売を始めるしかない……そんな人を念頭においている。

 このノウハウに、「起業」と書きたくない。なんだか「起業」というと、どこからかおカネをひっぱってきて同志を集め、“イチかバチかの冒険に出る”というイメージがつきまとう。だけど、養うべき家族がいれば、そんな勝負に出ることなど簡単にできるものではない。

 僕も会社を辞めた当初、どこかで何度も読んだ「起業」のイメージがつきまとい、“イチかバチかの勝負に打って出る寸前”まで行った。でも、それを思い留まったのは、勝率が5割であったとしても、家族を5割の勝負に巻き込むことはできないという、ごく当然の理由だ。

 絶対に失敗できないなら、「起業」のイメージは捨て去ろう。「商売」「ショーバイ」を始めるのだ。それも小さく小さく、リスクを極力抑えて。

 では、42才で会社を辞め、いわば路上に飛び出て10年生きてきた僕の考えるそのポイントをお伝えしよう。

1.お店をつくるのはやめよう

 例えば一部上場企業などに勤めていて会社を辞めると、あの人はどうした? という好奇の目にさらされることになる。それもあって、前職が華やかな人ほどほかの人に「見えるもの」、立派なお店や豪華なオフィスを欲しがるようだ。

 恥ずかしながら僕も、当初は事務所を借りた。実際のところ、そこには、合計100時間もおらず、数カ月後にこっそりと撤退した。

 お店もつくりかけて、手付金をうつ寸前までいって、やめた。今の時代、何かを売るのに、お店が必須であるということはないし、自宅以外に事務所がなけりゃならない理由はない。

 お店をつくれば、在庫がいるし、ずっと誰かがはりつかなければならない。お店を持つということは、取りも直さず、イチかバチかの挑戦をするということだ。

 絶対に失敗できないなら、店舗ビジネスはやめるべきだ。

 だから、当然、僕の流儀の中には、飲食店の選択肢はない。

 さぁ、自宅から、自宅のリビングのコタツから、商売を始めようではないか。心配することはない。PC1台あれば、世界につながるのは簡単だ。

2.人の嫌がる仕事をして喜んでもらおう

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 僕らの古着業界では、こんな面白いことが起きる。

 たいていのひとは、業者専門の競市で商品を仕入れる。そして、仕入れの場では、自分が必要としないものも買わざるを得ない場合が多々ある。例えば、20枚ぐらいの着物がヤマにされて出品され、その19枚は要らないが、1枚だけ欲しいというような場合だ。その1枚を目当てに買う場合、残りの19枚は不要になり、それをいちいちたたんで持って帰るのが面倒になる。

 その19枚だって売れるのだが、その人にとっては、それをせっせとたたんで、ちびちび販売するより、自分が価値を見いだした1枚を売る方がずっと効率がよく儲かるのだ。

 古着業界に新しく入ってきた人たち、とくに若く既存の古着の価値観にとらわれていない人は、その19枚を貰って帰る。あげる側はたたまなくていいし、持って帰らなくていい、どうぞどうぞと喜んであげてしまう。そして、もちろん、その若い人たちはそれをヤフオクに出品したり、露天にもっていって詰め放題○○円! などと看板をぶら下げて売るのだ。

 高く売れるわけではない。でも、仕入れコストゼロなのだ。儲からないわけがない。

 僕はこの仕組みを知った時、なるほどなと思った。

 たぶん、これと同じようなことは、いろいろな業界にあるのではないだろうか。その業界ですでに商売を確立している人は、自分の時間あたりの利益を計算して動く。そしてそれはある程度の金額になっているはずだ。その時間あたりの利益より下回った利益でよければ、喜んで仕事を回してくれるはずだ。それがなかなか難しいのは、体面を保ちたいという気持ちが残っているからだ。

 体面を捨てて、みんなが嫌がることをしよう。そうすれば、きっと、みんな助けてくれる。

3.すぐに儲かる仕事を探そう

 試してみて、ある程度の利益が出なければ、すぐにほかのことを考えたほうがいい。1年先には儲かるかな、というようなレベルなら、結局、またイチかバチかになってしまう。

 だって、1年間の生活費をおいてスタートしたとしても、それを使い尽くしたあと、やっぱりダメだったということになったら、沈没である。

 1年間の生活費を除いて、商売に使える金額を計算してみる。そして、その虎の子を、ちびちび使って、何度も試してみよう。何度も試して、“このやりかたなら、ちゃんと儲かる! ”という方法を探し当てよう。

4.リピートのある商材を探そう

 小資本のビジネスは、なんと言ってもリピートが命だ。

 例えば、中古車とか家のビジネスは、その金額が大きいからというよりも、基本的にリピートのない商材である点が難しいと思う。汗水たらして働いてお客様に満足していただいても、次の注文まで何年も待たなければならないとしたら、その間に力尽きてしまう。

 単価は低くても、確実にリピート客がつく商材を見つけたほうがいい。

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