ほとんどの人が見落としている、ルールを守らせるのに絶対必要な2つの工夫ファイリングは捨てることと見つけたり

ルールとは、「見える化」「時間の確保」の2つを現場にどう落とし込むかまでセットで考えてこそ、初めて守られる環境ができるのです。

» 2013年11月15日 09時00分 公開
[野原淳Business Media 誠]
誠ブログ

 皆さんこんにちは。キングジムファイリング研究室コンサルタントの野原です。

 書類は組織のものですから、ファイリングの推進も組織として行うべきです。今回の話は、推進者側に向けたものです。ただ、自分自身で自主的にファイリング方法を決め、自らに課している人も数多くいます。もちろんその人にも参考になる話です。

 またファイリングに限らず、いかなるルールにも適用できます。ISO、ISMSといったルールから売り上げ達成のために実施する方策まで、ルール、決めごとになら何にでも応用できます。

最初から惜しげもなく言ってしまうその2つ

 ではほとんどの人が見落としている、ルールを守らせるのに絶対必要なたった2つの工夫を最初に言ってしまいましょう。

  1. 見える化すること
  2. 時間を作ること

 はい、実は私のブログ「ファイリングは捨てることと見つけたり」でもう何度も言っていることです。しかしファイリングのことで困っている人がいる以上、私は何度でも言います。重要なことですから、伝わるまで何度も言います。

見える化が必要な理由

 ファイリングをするために絶対に欠かせない2つのルールを例に説明します。

ファイリングに絶対に欠かせない2つのルール

  • 不要な書類は捨てること
  • 戻す場所を決めること

 では「いらないものは捨てなさい、使ったものは元に戻しなさい」というルールを号令すれば、ファイリングはできるのでしょうか? おそらくできません。最初に、やる人とやらない人が発生してしまうでしょう。やる人の中でも、レベルの差が出てきます。

 さらに見える化されていなければ確認のしようがないので、できている人を評価することも、できていない人を指導することもできません。やがて、まじめにやっている人もバカバカしくなってきて、やめてしまうでしょう。

 こうしてルールは形骸化していくのです。

 例えば、いらないものを捨ててあるか確認するためには、「これはいらない書類です、これはいる書類です」というのが分かる(=見える化)されていなければなりません。それが表示されていなかったら、推進側は指摘のしようがありません。

 「これは時々使うんだよ! こっちの仕事知りもしないクセに捨てろとか言ってんじゃねえ!」などと言われたが最後、対抗のしようがなくなり、書類は蓄積されていきます。これはもちろん、本人のためにもらならないことなのですが。

 そこで見える化です。書類作成時に廃棄時期を決めます。このことに関しては、以下の動画も覧ください。格好は変ですが、内容はおススメです。

 そして決めたルールは見える化すれば、その通り守れているかどうか、誰にでも判断できます。

 これは推進側だけでなく、捨てる人自身も必ず便利になることです。数年前に作成された膨大な書類の要/不要を、判断していくのはとても大変です。前任者の作成した書類だったらなおさらです。捨てる時期を過ぎているかどうかが一目で分かる見える化がなされていれば、捨てる作業にかける時間は大幅に短されるでしょう。

 さて、見える化は表示だけではありません。クリアデスクや足元に物を置かないなど、ルールそのものを見ただけでできているかどうかが分かるようにするのも重要です。

時間の確保が必要な理由

 ルールは守らなければなりません。しかし社内的なルールを守るための行動は、目先の仕事と違って、どうしても後回しにされがちです。こうして、徐々に「あるべき姿」と「現状の姿」がかい離していきます。

 一時的にこのような現象が起こるのは、ある程度仕方のないことです。ただ、どこかで是正しなければなりません。では、どのように是正するか。

 かい離した状態を、「あるべき姿」に戻す。そのための時間を組織として確保するのです。それは必ず、部署、課などでその時間を統一して下さい。

 例えば「毎週月曜朝の15分間」、などです。他のことは一切気にせず、集中してやってください。そうすれば週1回なら本当にそのくらいの時間で大丈夫です。定例化することで、時間の確保がしやすくなります。やっているかどうかを「見える化」させられるので、統制も簡単です。みんながやっているのに、1人だけ別のことをしていたらすぐ分かりますよね。

ルールは作っただけではダメ

 ルールは作っただけでは守られません。ルールを守るための環境を作らなければ、「何で守らないんだ」と怒鳴ってみたところで、形骸化を食い止める足しにはならないでしょう。

 「見える化」「時間の確保」この2つを現場にどう落とし込むかまでセットで考えて、初めて守られる環境ができたといえるでしょう。逆に、見える化しにくいルールというのは守るのは非常に難しいといえます。工夫して、守られている状況がすぐ分かるルールにしていくのもテクニックの1つです。

 繰り返しになりますが、これはファイリングに限ったことではありません。他のどんなルールでも応用できる方法です。ルールを作ったけど形骸化している、ということにお悩みでしたら、ぜひこの2つを組み入れられないか検討してみてください。

※この記事は、誠ブログファイリングは捨てることと見つけたり:ほとんどの人が見落としている、ルールを守らせるのに絶対必要なたった2つの工夫より転載、編集しています。

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