情報収集アプリ「Antenna」は、自分の興味を広げてくれる“スマホ時代の雑誌”新しい働き方のチームが作るモノ(1/2 ページ)

日々仕事に追われ、気付いたら情報収集もすべて仕事に直結することばかり――。情報収集アプリ「Antenna」はそんな人にこそオススメしたいアプリだ。“情報の引き算”というユニークな設計思想で、新しい情報との出会いを演出してくれる。

» 2013年11月13日 14時00分 公開
[上口翔子,Business Media 誠]

連載『新しい働き方のチームが作るモノ』とは

最近はやりの新サービスを生み出す企業は、働き方も新しい。どんな人たちがどんなワークスタイルでそのサービスを生み出しているのか。働き方と提供サービス、両方の視点に注目して紹介していく。


 最近、スマホで読めるニュースアプリがはやっている――。取材や友人との会話を通じてそう感じた。情報収集でどんなアプリを使っているかと聞くと、大抵「SmartNews」や「Antenna」「Gunosy」などの答えが返ってくる。

個人的主観で似たようなアプリをピックアップしてみた。方向性や仕組みはさまざま

 各アプリの取材を進めるうちに、アプリの仕組みだけではなく、制作チームの働き方やオフィス環境も先進的でユニークという共通点に気付いた。やはり、面白いモノは面白いチームが生み出している。

 そこで本連載は、前半では提供サービスの紹介を、後半ではその製作チームにフォーカスして紹介したい。第1回は雑誌のようなUI(ユーザーインタフェース)が特徴的な情報収集アプリ「Antenna」を製作したグライダーアソシエイツの町野健さんに話を聞いた。

町野健さん。グライダーアソシエイツのオフィスにて。町野さんは月に30〜40誌読むほどの雑誌好き。本屋で雑誌を眺める楽しさをスマホアプリで実現したいと始めたのがAntennaだ

百科事典のような雑誌アプリ

「Antenna」(App StoreGoogle Play)「無料」

 2012年5月にリリースし、2013年11月現在約130万ユーザーが利用する「Antenna」(App StoreGoogle Play)。提携する180以上のサイトから自動で記事をピックアップして紹介してくれる、無料のアプリだ。

 iOS/Android搭載端末のほかにPCでも使える。利用時にアカウントを作成すると、すべての端末が連動してより快適に使うことができる。もちろん既に使っているTwitterやFacebookのアカウントとひも付けての利用も可能だ。

Antennaの初期登録画面

 本アプリの特徴は、画像と数文字の紹介文だけを表示するシンプルかつ見やすい画面だ。多くの情報をサクサクと読み進められ、操作性もよい。気になる記事はタップして詳細を表示できる。好みの記事は「クリップ」と呼ぶブックマークのような機能で登録しておくことで、クリップした記事をグルーピングして友人とシェアしたり、後から見返したりできる。


画面左上の設定画面でユーザー情報や取得するサイト、ジャンルを設定できる

 このような自分好みの記事を抽出して紹介する“レコメンド”の仕組みを持つアプリは数多くあるが、Antennaが他のアプリと違うのは「情報に引き算の考えを持たせたこと」(町野さん)だという。

 この手のアプリの多くは自分好みの情報を得やすくするため、初期登録時に「ビジネス」「エンタメ」「グルメ」といったジャンルを自分で選択することが多い。一方のAntennaにも「ニュース」「ライフスタイル/コラム」「旅行/休日」などのジャンルはあるものの、初期設定時にはすべてチェックが入っており、興味がないジャンルは後からチェックを外すという仕組みを採用している。他のアプリがゼロから足していくのに対し、Antennaは膨大な情報から不要なものを減らしていくのだ。


画面左上の設定画面でユーザー情報や取得するサイト、ジャンルを設定できる

 なぜこのような仕組みを取っているかというと、あえて自分の興味以外のものを流すことで、興味の幅が広がる可能性を持たせたいからだという。「契約している180のサイトは厳選して質の高いものだけ選んでいる。コンテンツには自信があるので、最初は全部見てもらって嫌だったら外してもらえばいい。面白いことにジャンルを減らさないユーザーのほうが多い。レビューなどを見ていると『世界が広がった』と言っている人もいるくらいだ」(町野さん)


見たいサイトやジャンルは後から変更できる

 2012年11月からは47都道府県の現地に住む人がオススメする情報をピックアップする「ヨンナナにっぽん」というプロジェクトも開始した。Antenna内で各地のグルメ情報や現地ならではのお得情報などをチェックできる。町野さんは「日本にはいいものがたくさんある。小さくてもいい記事を出しているサイトからコンテンツをピックアップして広く世の中に知ってもらいたい」と話す。

「ヨンナナにっぽん」イメージ(提供:グライダーアソシエイツ)

 リリース時はユーザー属性の男女比が1:9だったものが、現在では4:6とほぼ半々になった。Antennaがピックアップする記事はユニセックスだと表現されることが多い。性別関係なく多くの人が興味を持ちそうなコンテンツを紹介している。「彼氏の影響で彼女もバイクが好きになる、というようなイメージでAntennaでたまたま見つけた情報で新しい趣味が見つかる……そんな使われ方を想定している」(町野さん)

 日々仕事に追われ、気が付いたら情報収集もすべて仕事のことばかり、となってしまっている人はぜひAntennaを使い新しい世界をのぞいてみてはいかがだろう。

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