「伝える」前に知ってほしい、「伝わる」コミュニケーション6つの前提ボクの不安が「働く力」に変わるとき(1/3 ページ)

具体的なコミュニケーションスキルを知る前に「コミュニケーションとは一体何か」、まずは知っていると便利な「コミュニケーションの6つの前提」を知っておくといいでしょう。

» 2013年11月08日 12時20分 公開
[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),Business Media 誠]

竹内義晴(たけうち ・よしはる)

 1971年生まれ。経営者、教師、コンサルタント、コーチ、カウンセラーなど、リーダー層を支えるビジネスコーチ。人材育成コンサルタント。

 自身がプレッシャーの多い職場で精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。人や組織を育てるには、マネジメントの手法だけでは太刀打ちできないことを痛感。優れたリーダーたちが使う卓越したコミュニケーションスキルを学び、実践。チームの変革に成功する。実践の経験から、難しいコミュニケーションスキルを誰もが現場ですぐに使えるようにした独自の手法「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。実践的なコミュニケーション方法を伝えるコミュニケーショントレーナー。

 米国NLP協会認定NLPトレーナー、NPO法人しごとのみらい理事長。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』(こう書房)、『イラッとしたときのあたまとこころの整理術―仕事に負けない自分の作り方』(ベストブック)がある。

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 前回から、「社員を前向きに導くコミュニケーションスキル」をテーマにお話しています。前回の「仕組みや制度だけでモチベーションは上がらない――社員を前向きに導くコミュニケーションの全体像」では、社員を前向きに導くコミュニケーションの基本についてお話しました。

 一般的に、相手を望ましい姿に導こうとするとき「○○はこうあるべきだ」「○○はこうしなければならない」などのように上から目線で指示、命令し、相手を力づくで動かそうとします。けれども指示、命令されると多くの人は反感を抱くので、聞く耳を持たれる前にシャッターをガラガラ〜と降ろされてしまいます。こちらの言い分を伝え、前向きに導く前に、まずは、同僚や部下との信頼関係を築く必要がある……というお話でした。

 今回は、具体的なコミュニケーションスキルをお伝えする前に「コミュニケーションとは一体何か」、知っていると便利な「コミュニケーションの6つの前提」についてお話したいと思います。

コミュニケーションが上手な芸能人のイメージ

 私が企業でコミュニケーションの研修をする際、「あなたにとってコミュニケーションが上手だと思う芸能人は誰ですか?」という質問をよくします。すると、多くの人が「タモリさん」「明石家さんまさん」などの名前を挙げます。

 続けて、「そう思うのはなぜですか?」という質問をします。すると、多くの人が「自分のペースに持ち込むのがうまいから」「伝えるのがうまいから」などと答えます。

 「では、どのようなコミュニケーションスキルを身に付けたいですか?」と質問すると、「同僚や部下に伝えるときに効果的なテクニックを教えてください」と言われます。

 多くの人にとって、コミュニケーション上手は「伝える」というイメージがあるようです。

コミュニケーションとは「伝える」こと?

 皆さんも朝礼のあいさつや顧客へのプレゼンテーションやスピーチなど、どこからしらで「人前で話す」体験をしたことがあるでしょう。それぞれの人をよく観察していると、「こちらを見て頷きながら聞いている人」「難しそうな顔をしている人」「興味なさそうに聞いている人」「下を向いている人」「眠そうにしている人」など、さまざまな表情や態度をしています。

 私たちは、これらの人に対し、間違いなく「伝えて」います。しかし、興味がなさそうな人に「私が言いたいことが伝わっていますか?正直に答えていいですよ」と聞いたら、おそらく多くの人が「No」と答えるでしょう。

 コミュニケーションの目的は「何を伝えたか」ではなく、「どう伝わったか」にあります。当たり前に聞こえるかもしれませんが、私たちの周りで意外と多いのが「言った/言わない」のトラブルです。

 つまり、コミュニケーションは「伝える」テクニックだけを身に付けてもだめなのです。ここで、知っていると便利なのが「伝わるコミュニケーションの6つの前提」です。

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