まずはソーシャルメディアの運営をどんな目的で行うかを社内で明確にし、その目的を達成できる運用を考えていきましょう。企業でのソーシャルメディア運用が失敗に終わるケースのほとんどは、目的が不明確であったり、自社の商品・サービスに対して不適切な目的を選択することにあります。まずはソーシャルメディア運用の目的を、しっかり把握することとと、自社に適切な目標を正しく選択し、ブレずに運用することを心がけましょう。
一般的なソーシャルメディアの活用法は次の3つです。
最もポピュラーな発想は、FacebookやTwitterなどで話題になりやすい投稿を繰り返してファンを増やし、Webページへのアクセスを増やすという手段です。
話題になるコンテンツを発信し続けたり、特別なキャンペーンを行い続ける必要があるため、小さな会社にとっては難易度の高い方法ではあります。
すでに、ブログを運営している会社では、ブログの内容を告知するために、FacebookやTwitterを利用することで、効果的にブログへのアクセスアップを達成することができます。
また、間接的なアクセスアップ効果ではありますが、FacebookやTwitterで話題に上ることで、ブログ記事への参照が増えることにより、SEO効果も期待できます。
すでにあなたの会社の商品を利用している人のために、定期的な情報発信やカスタマーサービスをFacebookやTwitter上で行います。中小企業でのソーシャルメディア利用としては、これがもっとも効果が出やすいでしょう。
インターネットの利用環境が多様化しているため、ソーシャルメディアを利用して最新情報を得ようとする顧客の期待にこたえるのです。集客というよりも、すでに顧客になっている人や見込み客のための情報発信メディアとして運用する手法です。「メールマガジンやカスタマーセンターのユルいもの」というイメージで捉えると、分かりやすいでしょう。
小さな会社のWebサイト運用のキモは、いかに更新作業を効果的かつ効率よく行うかという点です。WebサイトをCMSで作成していれば比較的簡単に更新することが可能ですが、逐一業者に頼むようだと更新の労力が大きくなってしまい更新が滞ります。更新されていないWebサイトは、やがて訪問者も少なくなります。
その点FacebookやTwitterの更新情報は、ガジェットという形でWebサイトに掲載できるので、投稿がリアルタイムに近いスピードでWebサイトに反映され、サイトそのものが更新されていなくても情報発信が行われている印象を与えることができます。
その他、Facebookページの「いいね!」の数を表示する「LikeBox」をWebサイトに設置すれば、たくさんのファンがついていることを訪問者に知らせることもできます。
定期的にCMSやブログとして更新できれば理想的ですが、ブログ記事はある程度の長さで文章を書かなければいけないというプレッシャーがあるため、ついつい更新が滞りがちです。
その点、FacebookやTwitterであれば、1〜数行程度の文章で更新するのが一般的なので、プレッシャーも少なく、気軽に情報発信ができるでしょう。
ソーシャルメディアは、「Webでの情報発信の習慣をつける入門ツール」としてのメリットがあるのです。
(次回は「Facebookの運用の基本」について)
→連載「Web担当者になったら読む本」バックナンバーはこちら
山田案稜(やまだ・ありゅう)
株式会社パワービジョン代表取締役。同志社大学哲学科卒業後、システムエンジニアを経て2007年にWEBマーケティング専門会社パワービジョンを立ち上げ、中小企業から東証一部上場企業まで幅広くWEB事業のコンサルティングを手がける。最近は、スタートアップ企業のマーケティングにも積極的に取り組んでいる。
広く一般にもマーケティングノウハウを知ってもらうために、『ビジネス・マーケティングの読書会ビジマ(bizima)』を定期的に開催している。
著書に、『小さな会社のWeb担当者になったら読む本――ホームページの制作から運用・集客のポイントまで』(日本実業出版社刊)、『すぐに使えてガンガン集客! Webマーケティング111の技』『Googleアドワーズ&Yahoo!リスティング広告 最速集客術 〜SEMの極意』(いずれも技術評論社刊)、『WebクリエイターのためのWebマーケティング』(ソシム刊)がある。
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