ADS-1500Wでは、クラウドではなくタブレット本体のストレージにスキャンデータを保存することも可能だ。この際場合は「Brother iPrint&Scan」アプリを使う。ちなみに、ADS-1500Wの兄弟機種である「ADS-1000W」にはクラウド接続機能がないので、アプリによるスキャンの機会が増えるだろう。
Brother iPrint&ScanはiOS/Androidの両対応だが、今回はAndroid版を使ってみた。基本的な準備は、ADS-1500Wとタブレットを同一ネットワーク(LAN)に接続することくらい。仮登録IDなどを取得する必要もない。あとは基本的にアプリですべて操作する。
クラウド接続機能を使ったスキャンとは、設定できる内容が若干異なる。まず、保存形式はPDFとJPEGの2種類のみ。事前に設定するのではなく、スキャンした直後に表示されるプレビュー画面で、どちらの形式で保存するかを選択できる。
また、プレビュー画面でさまざまな編集ができるのも魅力だ。トリミングによって保存したい部分だけを切り抜けるし、また、90度単位での回転にも対応している。ピンチイン/ピンチアウトで画像を拡大縮小させつつ、原稿セット方向のミスがないか確認するといったこともできる。こういった場面では、やはりタブレットの大画面という特性が際立つ。
以上、ADS-1500Wの使用感をお届けした。ハードウェア面では、排紙トレイの省略などで収納時のサイズを大幅にコンパクト化しながらも、ADFはきっちり搭載しており、機能とサイズのいいとこ取りを狙っているな、という印象だ。
ソフトウェア面では、クラウド接続機能がこの上なく魅力的だった。以前、「ADS-2500W」のレビュー記事を書いたときにも言及したが、今回もそれは変わらない。スキャナ本体をポンポンと操作するだけで、PC/スマホ/タブレットのすべてで閲覧できるクラウドストレージにファイルを保存できる。これなら端末側のメモリ容量を気にすることもない。
一方で、「生成するデジタルデータの品質」を追求し始めると、クラウド接続機能やBrother iPrint&Scanアプリでは、機能面で物足りなくなってくるとは思う。例えば、原稿が微妙に斜めになったものを修正したいとか、両面印刷原稿の裏写りをなくしたい――などといいだすと、PCソフトなどの併用が必要になってくる。
ADS-1500Wのよいところは、とにかく手軽にスキャンできること。まずは、あまり質を気にせずに“とりあえず”スキャンしておき、見るかどうかは後で決める――という使い方でもいいだろう。データの体系化とかラベリングといった整理はさておき「捨てるくらいならスキャンしておくか」とまずはデジタル化のメリットだけを享受すればいいのではないだろうか。
A4の原稿をデジタル化して読むならばタブレットがオススメだ。スマホでPDFを読むのはちょっと見づらいと感じた人は、ぜひ一度大画面タブレットを試してほしい。そこでピンと来た人なら、ADS-1500Wのクラウド接続機能を有効活用できるはずだ。
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