【オフタイム編】言い方次第で人間関係が壊れることも――クレームの正しい伝え方岩淺こまきのオン/オフで使えるプレゼン術

日常生活を送る中では時として、腹が立たないまでも、相手にクレームをつけたくなる気持ちが出てくる場合もあります。今回は、こうした場合の効果的な伝え方を考えます。

» 2013年10月25日 10時00分 公開
[岩淺こまき,Business Media 誠]

岩淺こまきのオン/オフで使えるプレゼン術

 プレゼンテーションが苦手だと思っている人、ちょっとしたコツを知っておくだけで、プレゼン上手になれるのをご存じですか?

 この連載では、プレゼンテーションスキルを磨くためのテクニックをご紹介します。といっても、ただ、ビジネスに役立つテクニックを紹介するのでは面白くないので、私生活で役立つテクニックも合わせてご紹介することにしました。

 月曜日にはオン(ビジネス)、金曜日にはオフ(私生活)で役立つプレゼン術を公開します。


 入ったお店で自分だけ頼んだものが出てこない、一緒に考えた旅行プランを相手に勝手に変更された、宿泊先のホテルの廊下で人が騒いでいる声がする……などなど、日常生活を送る中では時として、腹が立たないまでも、相手にクレームをつけたくなる気持ちが出てくる場合もあります。

 クレームは、広辞苑5版によると以下のように定義されています。

【claim】(1)売買契約で商品の数量・品質・包装などに違約があった場合、売り手に損害賠償を請求する事。(2)異論。苦情。文句。

 要約すると、「当初言っていたこと(予定していたレベル)と違うよね」と相手に伝え、予定していたことを望んでいたレベルで全うするよう要求することです。

 クレームには、「満たしたい何か」があるわけです。この「何か」を満たすよう相手に伝えなければ、相手にただ不満をぶつけるだけになり、「相手もイヤな気持ちになり、自分も何も満たせない」という残念な結果になります。そのような関わり方をしてしまったら、よいお付き合いができるわけもありません。相手の気持ちを無意味に傷つけることなく、その上で自分も我慢せずに要望を伝えることが、クレームに必要な意志と言えるのです。

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相手に伝わらないクレームとは

 ではここで、相手をイヤな気持ちにさせる2大クレームの形をご紹介しましょう。

「なぜ〜しないのか?」という否定形で相手を責める

 お店で頼んだものが出てこないときに「何で私だけ出てこないの?」「何でこんなに遅いの?」と言ったり、計画した内容をひっくり返された時に「何であの時、言わなかったの?」と責める。

 過去の行動を問われても、問われた方は「すみません」と謝るか、「あの時はそう思わなかった」としか答えられません。

「察してちゃん」になり、自分の要望を伝えない

 宿泊先のホテルの廊下で人が騒いで困った時に、ホテルのフロントに「廊下で騒いでるんですけど〜(今すぐ注意して静かにしてほしい)」「うるさい! 何とかしてほしい!(仕事に集中できるように部屋を変えてほしい)」などと表現します。

 この時の要望は、「今すぐ注意して静かにしてほしい」「仕事に集中できるように部屋を変えてほしい」ということです。ホテルのフロントなら察して対応してくれるでしょうが、それでも要望通りには動いてくれない場合もあります。ましてやプライベートの相手に、そこを期待するのは酷というものです。

 このように、相手をイヤな気持ちにさせる2大クレームの伝え方では、お互いに今後よいお付き合いができそうにありません。

要望を伝える効果的な方法

 そこでクレームを効果的に行ために、「事実」+「リクエスト」を「肯定形」で伝えることを意識してみてください。「当初、言っていたことと違う事実」を相手に伝え、予定していたことを全うするよう「リクエスト」を口に出して伝えるのです。この伝え方を意識することで、クレームを受けた相手も「今何が起こっているか、話し手が何を求めているか」を把握することができ、求めている行動を起こしやすくなります。

 このフレームを活用すると、上に書いた2大クレームも以下のように変わります。

入ったお店で自分だけ頼んだものが出てこない

 「私だけ頼んだものが出てきていません。休憩が後30分しかないので、オーダーを取り下げていただけますか?」

宿泊先のホテルの廊下で人が騒いでいる

 「廊下で人が騒いでいます。実は今、仕事をしていて集中したいのです。注意をするか、部屋を変えていただけませんか?」


 相手とよりよい関係を築くためにも、「『事実』+『リクエスト』を『肯定形』で」というフレームを意識し、相手にきちんと伝えることを心がけましょう。

著者プロフィール:岩淺こまき

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 グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/ヒューマン・スキル講師

 大手システム販売会社にて販売促進、大手IT系人材紹介会社にて人材育成、通信キャリアでの障害対応、メーカーでのマーケティングに従事。さまざまな立場でさまざまな人と仕事をし、「ヒューマン・スキルに長けている人間は得をする」と気づく。提供する側にまわりたいと、2007年より現職。IT業界を中心に、コミュニケーション・ファシリテーション・リーダーシップ、フォロワーシップ、OJT、講師養成など、年間100日以上の登壇及び、コース開発を行っている。

日経BP「ITpro」で、マナーに関するクイズ形式のコラムを連載中。



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