山のような紙の名刺、すぐスマホで使えるようにしたい――こんな課題を解決する「メイシー」今必要? すぐ使える! 注目Webサービス

引き出しの中に貯め込んでしまった大量の名刺。スキャナで取り込んだり、スマホで撮影したりしてデジタルデータ化するには、相当な時間と手間がかかってしまう。これを封筒に入れて送ると、すぐデジタルデータ化し、クラウドで管理できるようにしてくれるのが「メイシー」だ。

» 2013年10月21日 11時00分 公開
[後藤祥子,Business Media 誠]
Photo

 営業や打ち合わせ、イベント、懇親会などに行くたびに、どんどん増えていく名刺。いつかきちんと管理しようと思ったまま、机の中で眠ったままになっていないだろうか。また、数が増えすぎてスマホやスキャナで取り込むのがおっくうになっているのではないだろうか……。

 そんな職場の課題を解決してくれるのが、名刺の人力データ入力サービスとクラウド型名刺管理サービスを提供する「メイシー」だ。10月4日に開催された新興Webサービスの展示イベント「Cloud+」で、同サービスを手がけるもぐら 代表取締役の小林伸泰氏に、メイシーが解決する現場の課題と、サービスの特徴について聞いた。

職場のどんな課題を解決してくれるのか?

山積みになった名刺の束をデジタルデータ化するのが面倒

 何年分も貯め込んでしまった山のような名刺を、手間や時間をかけずにデジタルデータ化し、クラウド経由で活用できるようにしてくれるのがメイシーの特徴だ。紙の名刺を封筒に入れてメイシーに郵送すれば、1000枚くらいなら1〜2営業日で(数千枚、数万枚の場合はもう少し時間がかかる)デジタルデータ化できるという。自分でスキャンしたりスマホで撮影したりといった労力がかからないのが魅力だ。

 メイシーのデジタルデータ化は、OCRエンジンがかかったデータを人が目視で確認しながら手入力し、チェックスタッフがさらに修正しているため精度が高く、そのデータの正確さはOCR(光学式文字読取装置)を使っただけのサービスとは比べものにならない。ほとんど修正する必要なく、名刺データを活用できるのも特徴の1つだ。

名刺データをスマホで使えるようにしたい

 デジタルデータ化された名刺データは、専用のiPhone、Androidアプリで閲覧することが可能。外出先でも、すぐに必要な名刺をアプリから呼び出して電話をかけたりメールを送ったりできる。また、アプリ上で名刺データの住所をタップするとGoogle Mapが起動し、今いる場所からのルートをチェックできるのも便利だ。

Photo アプリからデジタルデータ化した名刺を利用できる。住所をタップするとGoogle Mapが、メールアドレスをタップするとメーラーが起動する

特定の名刺の相手に一斉メールを送りたい

 名刺をデジタルデータ化したら、自社のイベントやサービス案内などのメールを送るのに活用したくなる。メイシーは、デジタル化した名刺データを使ったメールの一斉送信機能を備えている。

 PCから名刺リストにアクセスし、メールを送りたい相手を選んでチェックボックスにチェックを入れて「メールを送る」ボタンを押せば一斉送信できる。メールの送信ミスを防げるよう、テストメール機能も用意されているのもうれしい。

Photo メールを送信したい相手にチェックを入れる
Photo 画面右の「メールを送る」をタップ
Photo メールの送信画面が立ち上がる

名刺を交換した相手の、より詳細な情報を知りたい

 名刺を交換した相手はどんな人なのか、会社の業績や株価はどうなのか、会社までの行き方は――。たくさんの名刺を交換すると、相手の情報を覚えておくのが難しくなるものだが、メイシーは、こうした情報を検索しやすくなっている。

 PCから名刺リストにアクセスし、情報を調べたい相手の名刺にチェックを入れる。すると画面の右側に名刺の詳細情報が表示され、その下にアイコンが表示される。アイコンは左から「HP(ホームページ)」「人物検索」「会社検索」「株価」「地図」「路線」「Facebook」の検索が設定されており、押すと情報を調べられる。

Photo アイコンをタップするだけで検索できる

名刺情報を年賀状ソフトや顧客管理ソフトと連携させたい

 せっかく名刺情報をデジタルデータ化したら、それを年賀状ソフトや顧客管理ソフトでも使えたら――と思うことだろう。

 メイシーは、名刺リストの情報を年賀状ソフトなどの他のソフトウェアに取り込めるCSV形式の出力に対応している。2013年10月14日時点では、「筆まめonline」「Synergy!」「挨拶状ドットコム(個人・法人)」「Zoho CRM」「ポスコミ」「misoca」向けのエクスポートに対応しており、CRMソフト大手の「salesforce.com」で使えるフォーマットへの書き出しも可能だ。もちろん、オリジナルのテンプレートを作成することもできる。

Photo 「CSVでエクスポート」をタップすると
Photo エクスポート方式の選択画面が表示される

名刺データを社内で共有したい

 メイシーでデジタルデータ化された名刺リストは、会社の他のスタッフも見ることができる。スタッフそれぞれの人脈を共有できるため、営業の幅が広がるという。

導入のしやすさは

 クラウド型名刺管理サービスの月額利用料が月額1980円。名刺データの入力料金が1枚25円で、名刺のスキャンが1枚10円となっている。

 2ユーザー目からは、名刺の枚数が150枚までなら月額500円/1ユーザー、1000枚までが月額980円/1ユーザー、2500枚までが月額1980円/1ユーザーになる。なお、名刺のスキャンを自身で行う場合はスキャン料金はかからない。

 例えば500枚の名刺をデジタルデータ化するのにかかるコストはデータ入力が1万2500円(500枚×25円)、スキャンが5000円(500枚×10円)、返送料が500円で、合計1万8000円。このデータをPCやスマホで活用するための月額料金が1980円(1人目のユーザーの金額。2人目以降は枚数に応じた金額になる)かかるということだ。

競合に対する強みは?

 人力による名刺データ入力サービスや、クラウド型名刺管理サービスはほかにもいくつかあるが、メイシーの強みの1つは「月額1980円の名刺管理サービスで、メールの一斉送信までできるのは、(同種のサービスの中でも)かなり安い」(小林氏)というリーズナブルなコストだ。

 もう1つは、使いやすさを考えたデータ入力をしている点だと小林氏。「うちは名刺入力専門業者なので、入力フローがきちんとマニュアル化されている。例えば青年会議所の名刺は、青年会議所の肩書きもあるが会社名も入っているが、どちらのメールアドレスを入れた方がユーザーにとって便利なのかといったところをマニュアル化して統一している。名刺データを“使えるデータ”にしようと考えてマニュアル化しており、そこで差が出る」(同)。ほかにも、名刺の裏の英語表記やメールアドレスのドメインの前の部分をチェックして名前のふりがなを入れたりするなど、細かい点に配慮したデータ入力を行っているという。

 また、サービスの中にCRM(顧客関係管理)、SFA(営業支援システム)機能を組み込まず、あえてシンプルにしているのも競合と異なる点だ。「機能が増えると使いづらくなる。メイシーは、非IT企業の人でもマニュアルを見なくても使えるサービスを目指しており、『名刺のデータ化』『メール一斉送信』『管理』――というシンプルな形にしている」(同)。

どのくらいの企業が導入しているの?

 2013年10月時点で300社弱が導入。主なユーザー層はIT企業やスタートアップ企業だが、大企業の社長や大手メディアのプロデューサー、士業関係者が利用するケースもあるという。

会社名の由来は?

 メイシーを提供するのは「もぐら」という、ちょっと珍しい名前の会社。名前の由来は「CTOが『ひらがながいい』といって候補を出した中にもぐらがあり、『“日の当たらないところで最強”というもぐらの特性が僕らに合っているのではないか』ということで決めたという。

 もぐらにはまた、名刺の入力を行う縁の下の力持ちの外注スタッフが170人くらいおり、その多くが日中、長い拘束時間で働くのが難しい子供を持つ女性たちだ。もぐらは、細切れの時間でしか働けない人たちに働く機会を提供している会社でもあるのだ。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ