聞けばモチベーションが上がる――仕事のフィードバックを求めてみよう田中淳子の人間関係に効く“サプリ”(1/2 ページ)

自分の仕事はほかの人のどんな役に立ったのか――それを知る機会は案外、少ないもの。自分から積極的に仕事のフィードバックを求めると、それが自信につながっていく。

» 2013年10月03日 10時00分 公開
[田中淳子,Business Media 誠]

田中淳子の人間関係に効く“サプリ”:

 職場のコミュニケーションに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。「上司にこんなことを言ったら怒られるかもしれない」「部下には気をつかってしまうし」――。

 本コラムでは、職場で役立つコミュニケーション術をご紹介します。具体例を挙げながら「なるほど! こういうやり方があるのか」「これなら自分でもできるかもしれない」と感じてもらえるよう、筆者が見聞きした出来事をちりばめています。

 明日から……ではなく、いますぐに試すことができる「コミュニケーションのヒント」をご紹介しましょう。


 実妹が出産前、かなり長期にわたって入院していた。病院でもカンファレンスでいつも話題になるほど気に掛けられていた妊婦だったらしい。誕生した息子、私にとっての甥はとても小さく、しばらくNICU(乳児用のICU)に入院した。長い期間病院にいて、多くの医療従事者、特に看護師さんにはいろいろとよくしていただいた。息子が何カ月かになった時、実妹はお世話になった看護師さんたちに元気に育つ息子を見せるため、病院を訪れた。皆さん、歓待してくださったそうだ。

 この話を聞いた時、忙しい病院に退院した元患者が訪ねていくのは、迷惑と思われないだろうか、とほんの少し気になった。そのことを、ある仕事で知り合った別の病院の看護師長さんに話したところ、「うわー、それ、すごく嬉しいことなんですよ!」とおっしゃった。

 「入院中に、どれほど交流があった方でも、退院した後のことを私たちはなかなか知ることができません。特に産科の場合、退院後に来院するのは小児科になるので、お目にかかれるチャンスがないんです。でも、気になっていた小さな赤ちゃんが元気になってすくすく育っているのを見せに来てくださったら、“ああ、よかった”と安心するし、やりがいも感じるものなんです。だから、病院を訪ねてくれるのは、うちの病院でも歓迎です」と続けた。

 なるほど、そういうものなのか。

 考えてみれば、自分の仕事の「その後」を知るというのは、実はどの職業でも案外、少ないのかもしれない。

 以前、引っ越しに際してお世話になった家具専門店の営業の方も同じことを話していた。「家具をお求めになるところまではお客様とともに考え、提案もできるけれど、その家具が納品された後のことを私たちはめったに見ることも知ることもない」と。だから、たまに何かのきっかけで自宅を訪問することになると、「おお、こんな風に家具を配置して、こんな暮らしをしているのか」と感動するのだという。

 私の仕事も確かにそういう面がある。例えば、「プレゼンテーション」の研修を提供する。その場ではめきめきとスキルアップし、初日と終了時点では人が変わったかのように上手にプレゼンできるようになって帰っていく受講者が多い。しかし、彼らや彼女らが実務に戻り、どのようにプレゼンテーションをしているのか、そのプレゼンによって、例えば、「受注案件が増えた」とか、「社内の調整ごとがスムーズになった」といったことは、なかなか知ることができない。

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 そんな時、受講された方から後日談が書かれたメールをいただくととてもうれしい。「こういう風に役立てています」とか「あの時学んだことを生かして、社内の変革に着手しました」といったメールは、私の仕事の「結果」を垣間見ることができるため、わくわくしながら何度も読み返してしまう。

 このように「結果」を見せてもらえるとうれしいものだ。「結果」を聞くことができるとやりがいを感じる。ならば私たちができることは何だろう。自分の仕事の「結果」を知りたければ、自分から取りに行く。可能なら試してみる価値はある。

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