5年目のEvernoteは「デザイン」「シンプル」で挑戦し続ける100年スタートアップ企業が目指すもの(1/2 ページ)

Evernoteのフィル・リービンCEOが来日し、日本ユーザー向けに説明会を開催。最新バージョンの特徴や他社と共同開発したオリジナル製品の販売について、同社の方向性を話した。

» 2013年10月02日 12時00分 公開
[上口翔子,Business Media 誠]

 Evernoteは2008年6月に米国でスタートアップした企業だ。「全てを記憶する」をコンセプトに、スマートフォンやPCからテキストや音声などあらゆるデジタルデータをクラウド上にアップロードし、後から共有や検索して再利用ができる「Evernote」をはじめ、画像編集アプリ「Skitch」や名刺管理アプリ「Evernote Hello」や食事記録アプリ「Evernote Food」など各種ファミリー製品を提供している。

 まさにデジタル時代ならではのサービスを開発してきた同社だが、2013年9月に生活雑貨を扱うオンラインショップ「Evernoteマーケット」を立ち上げた。また、2012年に発売したモレスキンとのコラボレーションノート「Evernoteスマートノートブック」のラインアップも拡充。ソフトウェア企業の枠を超えて、物販の領域にも挑戦している。

 今回このような取り組みを始めたキッカケは何だったのか、フィル・リービンCEOが日本ユーザー向けに話した。

フィル・リービンCEO。米国で9月26〜27日に開催した「Evernoteカンファレンス(EC)」が終わったその足で来日した

「5年目」だからこその挑戦

 今回の発表について「真っ先に日本ユーザーにこの喜びを伝えたかった」とフィル・リービン氏。この喜びとは、順調にEvernoteが拡大していること、そしてビジョンに向けての新しい取り組みが進んでいることだ。

 Evernoteは2013年で5年目に突入し、ユーザー数は世界7500万を超え、オフィスは世界10カ国に、社員数は330人規模に拡大した。100年続く企業に向けて、非常によいスタートを切ったと振り返った。

 フィル氏は次のような仮説を立てている。「今後、デジタルとアナログ(フィジカルと表現)、コンシューマーとエンタープライズの境界は消えていく」。そうした中でEvernoteがこれまでやってきたことは間違いないと確信しており、これからも革新的なことをやっていこうと思っているという。

5年目に突入したEvernote。100年続くスタートアップ企業になるべく、協業なども積極的に進める

 最近EvernoteはWindows版もバージョン5をリリースした。先行していたMacに追い付いた形だ。

これまでMacよりも対応が遅れていたWindows版も最新バージョンにアップデート
最も使われているAndroidアプリも最新版に

 OS別で見ると最もユーザー数が多いAndroid版も各種アップデートを加えた。そして最も革新的として紹介したのがiOS版。新OS「iOS 7」に対応すべく、これまでのコードは一切使わず、イチから設計を開始した。「全く新しいものになった」とフィル氏は強調した。

 それを最も体感できるのが、「クイックノート」を使ったときだという。アイコンをクリックして「クイックノート」をタップすれば、ほんの3秒で完了する。

iOS 7は「速い」「デザインがいい」

 Evernoteはエンジニアとデザイナーが密に連携して開発を行っている。その結果、2013年の「Apple Design Awards」を受賞。フィル氏も「5年目にして受賞は驚いた」というが、その背景には「デザイン」や「シンプル」、いかにユーザーにデザインを気に入ってもらい、かつ使いやすく、分かりやすく、長く使ってもらえるかを重要視しているか、がある。

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