格安SIMカードはMVNO(ケータイ会社の回線を借りて、安く通信サービスを提供している事業者)と契約して利用するサービスです。SIMカードとは、スマホやケータイ(フィーチャーフォン)に挿してあるICカードのこと。電話番号などの契約者情報が入っており、このSIMカードをドコモやau、ソフトバンクモバイルといった通信キャリアのものからMVNOのものと差し替えることで、安価な料金でパケット通信ができるようになります。
まだLTEスマホを購入していないのなら、中古のLTEスマホを入手して格安SIMカードを購入するといいでしょう。
ただし、すでにLTEスマホを購入しており、ケータイ会社との契約が済んでいるのなら、その契約を解約しないと、ケータイ会社とMVNOとで2回線契約していることになってしまいます。料金を二重に支払うことになるので、節約を考えているのならケータイ会社との回線は解約しましょう。その際、解約金(解除金)の有無にも注意しなければなりません。
さて、現在の格安SIMカードは通話ができるサービスもありますが、多いのは「通信のみ」のサービスです。そのため、冒頭で紹介した「データ通信だけ」の通信料金のデメリットがそのまま当てはまります。
さらに格安SIMカードの契約では、以下のような制限があることを覚えておきましょう。
1は、多くのMVNOがドコモの回線を借りてサービスを提供していることがその理由で、ドコモ以外のスマホではMVNOの格安SIMカードは、ほぼ使えないと考えたほうがいいでしょう。さらにドコモのスマホでも動作が確認されていないことがあるほか、SIMカードのサイズ(標準サイズのSIM、microSIM)が端末側のスロットのサイズと異なると差し込むことができません。
もっともSIMカードのサイズはドコモのサイトで、スペック表を見れば確認できますし、最新機種ならmicroSIM(ドコモのスペック表では「miniUIMカード専用」に「○」と表記されています)がほとんどです。また動作確認については格安SIMの提供会社のサイトをはじめ、ネット上に多くの情報があるので、参考にするとよいでしょう。
2は、例えばケータイ会社との契約を解約して格安SIMを使う場合は、同じケータイ会社同士の「無料通話」ができなくなります。またドコモが提供している「iコンシェル」のような、“ケータイ会社ならでは”のサービスも使えません。ほかにもおサイフケータイなど、ケータイ会社と関係ないサービスでも使えない場合があります。すでにLTEスマホを使っているのなら、それらのサービスについて解約手続きが必要です。
3はとくに安いMVNOのサービスが該当します。安いサービスではLTEスマホのよさである「高速通信」がそのままでは利用できない場合があります。高速通信にするには追加料金が必要になるので、事前に確認しましょう。
4は、通常のケータイ会社の料金プランでは3〜7Gバイトという高速通信のデータ量の上限が(ウィルコムプランLiteは1Gバイトですが)、格安SIMカードでは500Mバイトや1Gバイトなどに抑えていることがあるということです。もちろんその分安いわけですし、追加料金を払えば高速通信は維持できます。
またMVNOの格安SIMカードは、売り場が一部の家電量販店やスーパーに限定されていたり、ネットを通じて販売しているのが普通です。さらに設定を自分で行うため、SIMカードを差すだけでなく、APN(Access Point Name)と呼ばれる設定が必要です。
ただ格安SIMの提供会社のサイト上に設定方法が紹介されていたり、あるいは申し込んだあとに設定方法がSIMカードと一緒に郵送されるので、初めてでも難しくはないはずです。
それでは次に、節約に役立ちそうな主なサービスを挙げてみます。すべて「LTE」を使った高速通信ができるサービスです。
項目 | 日本通信 | 日本通信 | 日本通信 | 日本通信 | DTI | U-NEXT |
---|---|---|---|---|---|---|
サービス名 | b-mobile 4G 6ヶ月定額 | b-mobile 4G 1GB定額 | b-mobile 4G 基本料0円SIM | b-mobile スマートSIM | ServersMan SIM LTE 100 | U-mobile*d ダブルフィックス |
使用料(パケット通信料) | 180日1万4900円(30日あたり2483円) | 30日3100円 | 月0〜3780円 | 月980/1980/2980円 | 月490円 | 月714〜2079円 |
データ量制限 | 1Gバイト | 1Gバイト | 1Gバイト | 1Gバイト(1980円)、2Gバイト(2980円) | なし。増速オプション購入で100/500Mバイト、1Gバイト | 1Gバイト(714円)、1Gバイト以上(2079円) |
その他主な制限 | 30日1Gバイト超で150kbpsに変更。 | 30日経過、1GBに達すると利用不可、追加チャージが必要。 | ヨドバシカメラ限定販売。 | アマゾン限定販売、月980円のプランは150kbps。 | 通常は100kbps、増速オプションの購入で3Mbps程度。 | 3Gバイトを超えると128kbps、10月に増速オプション、オンライン申込予定。 |
備考 | とくになし | 購入時3480円 | とくになし | 毎月料金プランを変更できる | 有料オプションでSMS、IP電話サービス利用可能 | SMSオプションあり |
今回取り上げているのは、LTE(ドコモのXi)のデータ通信が可能な格安SIMカードです。手数料やユニバーサルサービス料は含んでいません。他にもMVNOで提供している会社はありますし、2台、3台、あるいは家族で使い分けをしたり、「通話」も可能なサービスもあるなど、選択肢が豊富です。
ただしデータ量はやはり1Gバイトが中心。そのままではLTEの高速通信が利用できないサービスもあります。また各社キャンペーンなどでさらに安く提供することもあります。
一番安く使えるのは日本通信の「基本料0円SIM」。通信をしなければ0円で済みます。特殊な例ですが、「普段はスマホを無線LANばかりにつないで使っている」という人にはいいかもしれません。日本通信はほかにも、6カ月分前払いして安く使う「6ヶ月定額」、料金プランを毎月変更する「スマートSIM」を表で取り上げています。さらに通話付きのプランや、大手スーパーのイオンで販売している格安SIMなど、紹介しきれないほどラインナップが豊富です。設定等の情報も充実しているので、初めて格安SIMを使うにはいいかもしれません。
最近は非常に安い料金プランの格安SIMに、ネットから申し込みができます。とくに「ServersMan SIM」は月490円と激安です。もっともこのままだと通信速度が遅く、ネットをたくさん使うのならWi-Fi接続が中心になりそうです。あるいは外出先でメールチェックができればいい、という通信速度を気にしない使い方に向いています。
通信速度を上げるには増速オプションの購入が必要で、それでも速度は3Mbps程度とのこと。LTEスマホの通信速度としてはちょっと物足りないかもしれませんが、オプションが充実しているので使い方次第でかなりの節約ができそうです。
一方でLTEスマホなら通信速度が速くないと! という人は下り最大112.5Mbpsの高速通信が可能な「U-mobile*d」が安いでしょう。2段階の定額制ですが1Gバイトまでなら月額714円(税別では月額680円)で済みます。9月に始まったばかりのサービスで、これからオプション等がそろっていくようですが、ネットをガンガン使う人にはよさそうです。ただしガンガン使っているとデータ量が1Gバイト以上になるかもしれませんが……。それでも高速通信が3Gバイトまで月2079円なら十分安いと言えるでしょう。
これらの格安SIMカードをLTEスマホで使うとどうなるか? 前回の連載と同じように、長電話(毎日同じ会社、他社、固定電話に20分ずつ通話)の場合を想定して検討してみましょう。
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